文献情報
文献番号
200632001A
報告書区分
総括
研究課題名
自閉症の病態診断・治療体制構築のための総合的研究
課題番号
H16-こころ-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
加我 牧子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
- 稲垣真澄(国立精神・神経センター精神保健研究所)
- 大野耕策(鳥取大学医学部脳神経小児科)
- 杉江秀夫(浜松市発達医療総合福祉センター)
- 橋本俊顕(鳴門教育大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自閉症の脳機能障害をヒト認知機能、臨床指標と分子遺伝学的比較検討、自閉症を呈する疾患と分子遺伝学、モデル動物による病態解明の側面から明らかにし早期診断と治療体制の構築を図ることを目的として研究を行った。
研究方法
対人的社会性の基礎となる自己・他者の弁別の認知機能につき、顔に対する事象関連電位検査を行った。自閉症における同一保持の欲求やこだわり、不安に関与するGABAニューロン機能の動態を知るため123IMZ-SPECTにより脳内受容体の検索と1H-MRSによる濃度測定を試みた。身体特徴として第Ⅱ指/Ⅳ指長比が著しい異常を示した症例でHOX遺伝子変異を解析した。自閉症の合併率の高い結節性硬化症につき、TSC1, TSC2遺伝子検査を行い臨床所見と比較を行った。さらに自閉症にみられる多数の行動異常、睡眠障害など共通の症状を呈するモデル動物における行動解析、GABA作働性介在ニューロンの機能について検討した。モデル動物では治療にいかすための検討を進めた。
結果と考察
自閉症の障害の根幹をなす社会性の異常は、顔認知の異常として捉えることができた。すなわち自分の顔を見ているときのP300振幅は,健常児と異なり既知顔や未知顔への振幅と有意差がなかった。これは自閉症の社会性障害を理解するうえで重要であり、顔の既知性や自己認識に関与する脳領域の活動低下が考えられ認知様式の特異性を示すものと考えられた。
自閉症児の理学的所見・分子遺伝学的の検討によりサブグループの存在が明らかになった。結節性硬化症の責任遺伝子であるTSC1変異とTSC2変異により自閉症の発症頻度、重症度が異なることが明らかにされた。SPECT, MRSの結果、動物モデルの行動解析、神経生化学、免疫組織化学病理学的検討のいずれもがGABA作働性ニューロンの機能異常を示した。自閉症の原因としての単一遺伝子は世界的にすでに展望がなくなっているが、特徴的な臨床症状と共通する分子メカニズムをもたらす遺伝学的背景を比較することは意義がある。
自閉症児の理学的所見・分子遺伝学的の検討によりサブグループの存在が明らかになった。結節性硬化症の責任遺伝子であるTSC1変異とTSC2変異により自閉症の発症頻度、重症度が異なることが明らかにされた。SPECT, MRSの結果、動物モデルの行動解析、神経生化学、免疫組織化学病理学的検討のいずれもがGABA作働性ニューロンの機能異常を示した。自閉症の原因としての単一遺伝子は世界的にすでに展望がなくなっているが、特徴的な臨床症状と共通する分子メカニズムをもたらす遺伝学的背景を比較することは意義がある。
結論
(1) 早期診断のため頭囲、第2/4指長比が手がかりになりうる。
(2) コミュニケーション障害の基盤にある顔認知の特徴を明らかにした。
(3) 合併しやすい疾患の特徴を明らかにし自閉症の病態の検討を進めた。
(4) 病態にGABA作動性ニューロンの介在を推測させる結果を得られた。
(5) 自閉症の症状を動物モデルで確立し、治療トライアルを可能にした。
(2) コミュニケーション障害の基盤にある顔認知の特徴を明らかにした。
(3) 合併しやすい疾患の特徴を明らかにし自閉症の病態の検討を進めた。
(4) 病態にGABA作動性ニューロンの介在を推測させる結果を得られた。
(5) 自閉症の症状を動物モデルで確立し、治療トライアルを可能にした。
公開日・更新日
公開日
2007-04-24
更新日
-