文献情報
文献番号
200631005A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ上肢人工関節開発に関する研究
課題番号
H16-免疫-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
三浪 明男(北海道大学大学院医学研究科高次診断治療学専攻機能再生医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 馬場 久敏(福井大学器官制御医学講座整形外科学分野)
- 加藤 博之(信州大学医学部整形外科)
- 岩崎 倫政(北海道大学病院整形外科)
- 村瀬 剛(大阪大学大学院医学研究科整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
関節リウマチ(RA)により高度に冒された下肢関節に対する人工関節置換術はほぼ確立した治療法として患者のQOLおよびADL向上に多大な福音をもたらしている。それに対して上肢関節(肩、肘、手関節)に対する人工関節置換術は中期成績であっても安定しておらず、上肢関節の人工関節開発は急務ということができる。日本人にフィットした新しい上肢人工関節が開発されることにより患者のQOL、ADLが向上し、介護の割合の低下が期待される。
研究方法
1.肩関節:人工関節肩甲骨関節窩上方に作成したフードの長さを変えた場合の応力分布を有限要素法にて検索すると同時に、屍体肩に人工肩関節を挿入し、可動域測定を行った。2.肘関節:上腕骨遠位部および尺骨近位部の髄腔径を測定し、プロトタイプの人工肘関節を作成し、in vivoでのCTを用いた動態分析法により実際に挿入した場合の可動域を測定した。3.手関節:既に作成した人工手関節を屍体に挿入し可動域測定および屈筋腱、伸筋腱に重垂を掛けて適合性についてX線学的に検討した。また、破砕試験、耐久試験を行った。
結果と考察
1.肩関節:人工関節肩甲骨関節窩上方に作成したフードの短いもの(10mm)が応力分析の平均分布が得られ、将来的なゆるみ発生を防止できると考えられた。また、75°程度の可動域が得られた。2.肘関節:新しく作成したプロトタイプの人工肘関節は上腕骨、尺骨の骨髄腔の占拠率も大幅に向上した。また、可動域も良好であった。3.手関節:新たに作成したプロトタイプの人工手関節の可動域はほぼ正常であり、関節の適合性も良好であった。破砕試験および耐久試験においても正常な使用範囲内で満足すべき結果が得られた。
結論
人工肩関節および人工肘関節については新しい考えに基づいたプロトタイプを作製し、屍体に挿入し、可動域計測、破砕試験、耐久試験を行う予定である。また、新しく作成した人工手関節については全ての基礎的応力解析および材料試験を終え、現在厚生労働省に製造認可、薬事申請を行っている。これらが認められた後、多施設での治験を予定している。人工関節ステム表面に糖鎖工学的手法により生物活性物質をコーティングしてセメントあるいは骨との生物学的結合を図る目的での基礎的研究を行っている。
公開日・更新日
公開日
2007-07-13
更新日
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