日本の性娯楽施設・産業に係わる人々への支援・予防対策の開発に関する学際的研究

文献情報

文献番号
200629023A
報告書区分
総括
研究課題名
日本の性娯楽施設・産業に係わる人々への支援・予防対策の開発に関する学際的研究
課題番号
H18-エイズ-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
東 優子(大阪府立大学 人間社会学部)
研究分担者(所属機関)
  • 池上千寿子(ぷれいす東京)
  • 生島嗣(ぷれいす東京)
  • 徐淑子(新潟県立看護大学)
  • 野坂祐子(大阪教育大学・学校危機メンタルサポートセンター)
  • 澁谷知美(東京女学館大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「性娯楽施設・産業に係る人々」のリスク行動の実態、感染への脆弱性と社会的諸要因の関連を学際的に調査・分析し、当該集団に固有かつ有効なHIV/AIDS対策を提示すること、研究成果およびキーパーソンとのソーシャル・ネットワーキングを通じて、有効な「しかけ」の検討と実践を行い、当事者のwell-beingおよびわが国におけるHIV/AIDS対策事業に貢献することを目的とする。
研究方法
A「性娯楽施設・産業を利用する男性に関する研究」では、男性週刊誌(発行部数60万部)との共同企画として誌上に質問を掲載し、性娯楽産業の男性利用者(MSMを除く)のリスク行動、HIV/STD感染予防行動(コンドーム使用行動を中心とする)、検査・受診行動およびHIV/STD予防に対する意識・態度について調査した。B「性娯楽施設・産業従業者(CSW)に関する研究」では、(1)「セックスワーク論」に関する文献研究として、①90年代以降の人文社会系の文献における、研究者、当事者の言論の整理・分析、②本研究班の課題への当事者やサポーターの意見の整理・分析を行い、(2)次年度の調査に向けた準備としてキーパーソンの把握とネットワーキングを試みた。C「「一般女性」の実態調査」では、次年次の調査準備として文献調査を行った。D「性娯楽施設・産業に係る人々のセクシュアル・ヘルスを促進する多様な「しかけ」の検討・開発と実践」では、(1)当該集団におけるキーパーソンを招聘した「勉強会」の開催、(2)諸外国(英文)文献を収集して、「しかけ」の事例を収集・検討した。
結果と考察
Aでは2,124票回収された内の有効票1,999票より、日本における成人男性の性娯楽産業利用状況およびHIV/STDs予防に関する意識・行動を明らかにした。Bの文献調査においては、本研究4つの柱に重要な示唆を与える要点が整理された。Cにより、CSWの就労形態の変化とそれに直接的/間接的に関わる女性の意識や行動について今後の検討が必要であることが明らかになった。Dについては諸外国(英文)文献より効果的な事例を収集した。
結論
SWにとっての「セイファーセックスの阻害要因」は、客や店舗の無理解が最大の要因であることが明らかとなっているが、男性利用者のバックグラウンドおよび性娯楽サービスの利用パターンは多様である。「当事者」の不均質性に配慮しつつ、集団に固有かつ有効なHIV/AIDS対策を提示していくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-13
更新日
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