服薬アドヒアランスの向上・維持に関する研究

文献情報

文献番号
200629010A
報告書区分
総括
研究課題名
服薬アドヒアランスの向上・維持に関する研究
課題番号
H18-エイズ-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究部免疫感染研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 和子(国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター)
  • 桑原 健(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 廣常 秀人(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 山中 京子(大阪府立大学人間社会学部)
  • 小西 加保留(関西学院大学社会学部社会福祉学科)
  • 西澤 雅子(国立感染症研究所エイズ研究センター第2研究グループ)
  • 中村 哲也(東京大学医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究目的は、抗HIV薬の継続的服薬に伴う精神・心理的、身体的負担要因と軽減のための対策を明らかにする事である。服薬を適切に継続できれば良好な治療効果を維持でき、AIDS発症と薬剤耐性HIV株出現も阻止できると考えられる。
研究方法
服薬の継続の阻害要因を患者側要因と施設側要因に分け、精神・心理的要因、経済社会的要因、薬剤の副作用、施設の在庫等の問題、診療報酬改定、自立支援医療導入の影響等について研究を実施した。
結果と考察
服薬アドヒアランスの向上・維持のためには、医師、看護師に加え、薬剤師、臨床心理職あるいはMSWらで構成されたチーム医療による支援が有効であり、私たちの先行研究でHIV診療における外来チーム医療マニュアルを作成した。今年度は、本マニュアルに関する説明および検討会を財団法人エイズ予防財団による成果発表会にて開催した。各地のHIV医療の現状を知ることができ、有効な意見交換を実施することができた。次年度に内容につき検討を加え、平成20年度までに改訂を行う予定である。
副作用に伴う服薬困難例への対策としてホームページ(http://www.haart_support.com)上で薬剤毎の情報提供画面を作成した。
さらに、服薬(あるいは受診)の自己中断例の分析から、原因として基礎疾患に精神疾患がある事、種々の依存行動がある事、社会・経済的問題がある事などが明らかになったが、少数ながら積極的介入によって服薬を再開、継続できた例があった。本研究では服薬継続が高度に困難な要因を有する事例での阻害、促進因子を分析し、有効かつ安全な介入方法の開発を進めた。
HIV感染者が多い若年層はメールやインターネット利用率が高く、先行研究で開発した携帯電話による服薬支援ツールに改良を加え患者と医療従事者のニーズにあったツール開発を進めた。
薬剤耐性HIV株の出現阻止と有効な抗HIV療法の継続のために、最新情報を盛り込んだ治療のガイドラインの改訂を行った。
結論
服薬に伴う精神・心理的、身体的、社会経済的負担があることが認められた。阻害要因は患者側と施設側に大別され、それぞれの要因の解析を進めた。今後、阻害要因の軽減と促進要因の増強のための総合的支援方法を確立し、負担を軽減させ服薬アドヒアランスの向上・維持を目指す。

公開日・更新日

公開日
2007-04-25
更新日
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