薬剤耐性菌等に関する研究

文献情報

文献番号
200628040A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性菌等に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
荒川 宜親(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 池 康嘉(群馬大学大学院医学系研究科 細菌感染制御学教室)
  • 黒崎 博雅(熊本大学大学院医学薬学研究部 総合医薬科学部門創薬科学講座 構造機能物理化学分野)
  • 後藤 直正(京都薬科大学薬学部 微生物学教室)
  • 山口 惠三(東邦大学医学部 微生物学教室)
  • 和田 昭仁(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 牧野 正彦(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター 病原微生物部)
  • 柴山 恵吾(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 近藤 信哉(都立多摩北部医療センター 小児科)
  • 一山 智(京都大学大学院医学研究科 臨床病態検医学教室)
  • 小崎 繁昭((社)日本臨床衛生検査技師会)
  • 畝 博(福岡大学医学部 衛生学教室)
  • 武澤 純(名古屋大学医学部 救急医学/集中治療医学)
  • 宮崎 久義(独立行政法人 国立病院機構 熊本医療センター)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ医科大学 予防医学教室)
  • 小西 敏郎(NTT東日本関東病院 消化器外科 外科感染症 癌化学療法)
  • 北島 博之(大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科)
  • 藤本 修平(群馬大学医学部 微生物学教室)
  • 松本 哲哉(東京医科大学 微生物学教室)
  • 森兼 啓太(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 山本 友子(千葉大学薬学研究院 微生物薬品化学研究室)
  • 切替 照雄(国立国際医療センター研究所 感染症制御研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
75,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤耐性菌の出現や蔓延と院内感染症の増加を防止する為、平成12年度より開始された厚生労働省の「院内感染対策サーベイランス事業(以下、JANIS事業)」を科学的、専門的な観点から支援するとともに、薬剤耐性菌やそれらによる感染症の発生動向の把握、抗酸菌を含む細菌における薬剤耐性の分子機構の解析、さらに、その成果を応用した耐性菌の検査法など、様々な研究を行う。
研究方法
研究班全体としては、「JANIS事業」の運営の支援と並行して、検査部門、集中治療(ICU)部門、全入院患者部門、手術部位感染症(SSI)部門、新生児集中治療部門(NICU)の各サーベイランス部門において、大幅な改良を行うための検討を行った。
 同時に、MDRPの全国調査や地方衛生研究所等における薬剤耐性菌の検査体制に関する実態調査、VREやMDRPをはじめとする各種の多剤耐性菌における新たな薬剤耐性機構に関する詳しい解析を行った。さらにペニシリン耐性を獲得したG群連鎖球菌に関する研究、抗酸菌における薬剤耐性機構、検査・診断法の評価、感染時の宿主応答などについての研究を行った。
結果と考察
JANIS事業の2006年上半期までの集計と点検を概ね終了し一般向け公開用ホームページから公開される準備が完了した。また、検査部門サーベイランス等5つの部門について、平成19年7月より、集計データの項目や還元される集計結果に関し大幅な改良を実施する目処を立てることができた。
一方、MRSAやVRE、MDRPに加え、プラスミド媒介性の16S rRNAメチレースを産生する汎アミノ配糖体耐性グラム陰性桿菌やプラスミド媒介性のフルオロキノロン排出ポンプを保有する新型の耐性菌、ペニシリン耐性を獲得したB群連鎖球菌(PRGBS)の出現等が確認された。
また、MDRPについては、全国の多くの施設から分離されるという実態が確認され、各自治体の行政試験研究機関における薬剤耐性菌に関する試験検査の実態調査の結果、各種の耐性菌への対策を強化する為には、地方衛生研究所等における耐性菌の検査機能の充実が必要である事が確認された。
結論
MRSAやVRE、MDRPのみならず、汎アミノ配糖体耐性グラム陰性桿菌、プラスミド依存性のフルオロキノロン排出ポンプ保有菌、PRGBS、多剤耐性抗酸菌など様々な薬剤耐性菌が新たに出現しつつあり、薬剤耐性菌やそれらによる感染症の発生動向を監視し、それらの低減化に貢献するサーベイランスと研究の一層の強化が不可欠となっている。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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