節足動物媒介感染症の効果的な防除等の対策研究

文献情報

文献番号
200628038A
報告書区分
総括
研究課題名
節足動物媒介感染症の効果的な防除等の対策研究
課題番号
H18-新興-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小林 睦生(国立感染症研究所昆虫医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 狩野 繁之(国立国際医療センター研究所)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス第1部)
  • 小西 英二(神戸大学医学部医療基礎学)
  • 沢辺 京子(国立感染症研究所昆虫医科学部)
  • 松本 芳嗣(東京大学大学院農学生命科学研究所)
  • 水田 英生(厚生労働省大阪検疫所)
  • 江下 優樹(大分大学医学部)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所ウイルス第1部)
  • 名和 優(埼玉大学医学部)
  • 當間 孝子(琉球大学医学部)
  • 小林 潤(国立国際医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国において、節足動物媒介性感染症は未だにある種のリスクが存在する疾病である。効果的なワクチンが無いデング熱は世界規模で流行している。最近、チクングニヤ熱の輸入症例も我が国で始めて報告された。日本脳炎(JE)患者数は過去10年ほど顕著に減少しているが、豚の抗体調査はウイルスの活動が東京以西で活発に起こっていることを示しており、媒介蚊(コガタアカイエカ)のウイルス保有状況調査は継続して行う必要がある。マラリアは輸入症例が年間50-80例ほど報告されており治療に関して注意が必要である。このような現状から、媒介蚊の都市部での発生状況調査、防除方法を検討し、将来の予防対策に資する。
研究方法
媒介蚊の発生状況調査を都市部の雨水マスを中心に行い、薬剤を用いた防除法の検討を行う。デング熱のDNAワクチンの開発を進め、安価で効率の良いワクチン開発を目指す。唾液、尿中の抗体、遺伝子を検出することによるデング熱の診断法を確立する。コガタアカイエカからの日本脳炎ウイルス(JEV)の検出を行い、ウイルスの活動状況の把握およびワクチン接種の重要性を明らかにする。マラリアの予防ガイドラインを作成する。脳性マラリアの発生機序に関して解析を行う。媒介蚊からの分離したウイルス、原虫を用い、新たな発想による防除法を開発する。
結果と考察
媒介蚊調査では、都市部の雨水マスがアカイエカ、ヒトスジシマカの重要な発生源になっていることが示され、防除対策の立案に資するデータを得た。デング熱、ウエストナイル熱のDNAワクチンは、従来のワクチンを非常に微量混合接種することによって、中和抗体を誘導できることをマウス、ブタを用いて明らかとした。尿、唾液からデング熱ウイルスの遺伝子を検出し、また、特異的なIgA抗体を検出した。アカイエカから新規の昆虫フラビウイルスを分離し、遺伝子構造解析をおこなった。マラリアの予防ガイドラインの改定を行い、予防内服に関して指針をまとめた。
結論
蚊媒介性感染症対策は、ワクチンの開発および予防、早期診断法の確立、媒介蚊の防除、蚊に刺されない個人的防御、予防内服薬の使用など感染症によって大きくことなる。我が国での媒介蚊の発生源の調査、防除対策の立案が将来我が国に侵入する蚊媒介性感染症の予防に大きく影響を与えることが強く示唆された。新しい発想による蚊の防除法の確立も強く求められ、チクングニヤなどの感染症対策も重要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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