予防接種で予防可能疾患の今後の感染症対策に必要な予防接種に関する研究

文献情報

文献番号
200628033A
報告書区分
総括
研究課題名
予防接種で予防可能疾患の今後の感染症対策に必要な予防接種に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 富樫 武弘(札幌市立大学)
  • 浅野 喜造(藤田保健衛生大学 小児科)
  • 生方 公子(北里大学生命科学研究所 感染情報学研究室)
  • 庵原 俊昭(国立病院機構三重病院)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 平原 史樹(公立大学法人横浜市立大学大学院医学研究科 生殖生育病態医学)
  • 堤 裕幸(札幌医科大学医学部 小児科学講座)
  • 大石 和徳(大阪大学微生物病研究所)
  • 宮崎 千明(福岡市立西部療育センター    )
  • 森 康子(独立行政法人医薬基盤研究所 基盤研究部)
  • 多屋 馨子(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 大日 康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 蒲地 一成(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
定期予防接種対象疾患の国内動態を把握し、有効かつ安全な予防法の構築を目指すことを目的とする。定期予防接種に導入されていない水痘、ムンプス、肺炎球菌、Hibワクチンの定期接種化の必要性に関して、基礎、臨床、疫学、医療経済学の観点から検討し、予防接種行政ならびに感染症対策に寄与することを目的とする。
研究方法
予防接種で予防可能疾患について、国内発生動向を検討する。重症化例については、細菌学的ウイルス学的基礎研究ならびに臨床的疫学的研究により病態を明らかにし、医療経済学的に予防接種との費用対効果を検討する。分子生物学的手法を用いたワクチンウイルス、新遺伝子型ウイルスの解析、ワクチンの安全性に関する検討を実施する。予防接種後副反応の検討ならびに予防接種率の増加に伴う疾病構造の変化と費用対効果を明らかにする。定期予防接種制度を評価し、任意接種ワクチンの定期接種化導入の必要性に関して検討する。
結果と考察
水痘ワクチンの弱毒化機構を明らかにした。ムンプスワクチンの中枢神経病原性評価を行った。水痘、ムンプス、帯状疱疹による重症化例の全国調査を実施し、国内の現状を明らかにし、医療経済学的視点からも検討した。ムンプスワクチン後の自然ムンプス罹患の診断を可能とした。肺炎球菌ワクチンの応答者と低応答者の存在を明らかにし、応答者における再接種の必要性を明らかにした。肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用により、肺炎球菌ワクチン接種後1年間は急性増悪が有意に減少することを明らかにした。Hibによる細菌性髄膜炎の頻度と重症化例、薬剤耐性菌の割合を明らかにした。成人患者から百日咳菌を分離し乳幼児分離株と遺伝的背景について比較検討した。麻疹発生DBを構築し、迅速な情報共有と共に詳細な検討を実施した。初年度MRワクチン第二期接種率を明らかにした。DPTワクチン規定間隔外接種者率を明らかにした。日脳による死亡者数を、地域、年齢別に検討し、沖縄県における 日本脳炎ウイルス感染症強化サーベイランスを実施した。妊婦風疹相談窓口への相談症例の検討を実施し、国内の風疹の現状を明らかにした。
結論
水痘、ムンプス、帯状疱疹、肺炎球菌感染症、Hib感染症、成人百日咳の国内発生状況を把握し、ワクチンの安全性ならびに定期接種化について基礎、臨床、疫学、医療経済学的に検討した。定期予防接種対象疾患(麻疹、風疹、日本脳炎)については、予防接種制度の変更による影響について検討した。以上の検討より、国内患者発生をまず抑制することが公衆衛生学的に極めて重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-