性感染症に関する特定感染症予防指針の推進に関する研究

文献情報

文献番号
200628031A
報告書区分
総括
研究課題名
性感染症に関する特定感染症予防指針の推進に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 昭一(東京慈恵会医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川名 尚(帝京大学医学部)
  • 本田まりこ(東京慈恵会医科大学医学部)
  • 松本哲朗(産業医科大学)
  • 塚本泰司(札幌医科大学)
  • 飯沼雅朗(日本医師会)
  • 岡部信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 大日康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 松田静治((財)性の健康医学財団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)性器ヘルペス、尖圭コンジローマの迅速診断法を開発し、咽頭の淋菌感染に対する診断法・治療法を確立する。
2)性感染症発生動向調査の妥当性について検証するため、地域を限定した性感染症の全数調査を行い発生動向調査の分析を行う。
3)若者の性感染症を早期に発見し、治療に結びつけるための試行的研究を行い性感染症の蔓延防止に貢献する。
研究方法
1)性器ヘルペスでは、臨床検体を用いてLAMP法、Real-time PCR法の感度、特異度について検討し、尖圭コンジローマでは臨床検体を用いてLAMP法について検討した。咽頭の淋菌感染の新たな診断法としてうがい液を用いてSDA法の精度について検討した。
3)千葉、石川、岐阜、兵庫の4モデル県で、県医師会や臨床医会の協力を得て産婦人科、泌尿器科、皮膚科、性病科を標榜する全医療機関に調査書を送付し、11月の1か月間で性感染症の全数調査を行った。
3)関東地区のイベントや学園祭などで、若者を対象にクラミジア自己検査郵送用キットを配布し無症候感染者の調査を行った。
結果と考察
1)性器ヘルペスの診断法としてはLAMP法、Real-time PCR法とも臨床応用が可能と判断した。尖圭コンジローマでは、LAMP法で約80%の検体でHPV-DNAが検出され、その81%はHPV-6型であった。また、淋菌の咽頭感染の診断法としてうがい液を用いたSDA法の普及が今後期待され、治療法としてはCTRX1gの単回投与が有用であった。
2)性感染症全数調査書の回収率を県別、科別に集計したが回収率は60%程度であり、現在その詳細について解析している。解析結果を踏まえ来年度の課題を明らかにする。
3)若者を対象としたクラミジアの自己検査キットを2045例に配布し、その総回収率は24.4%、全体を通したクラミジアの陽性率は7.6%であった。アンケートの結果から、若者が性感染症検査を受けられる機会を増やし検査や治療に関する正しい情報を提供する必要性が明らかになった。
結論
 性器ヘルペス、尖圭コンジローマに関する迅速診断法の臨床応用の可能性が明らかになり、淋菌の咽頭感染の診断法としてうがい液を用いた検査法についても今後普及する可能性が示された。
 性感染症の全数調査は回収率の向上を計ることが課題であるが、継続的な調査により定点調査の妥当性について適切な評価が可能となる。
 若者の性感染症を早期に発見し、治療に結びつけるために検体の自己採取と郵送による検査をさらに普及させる必要があり、性感染症に関する正しい情報を提供できるシステムの構築が重要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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