病原微生物の取扱におけるバイオセーフティの強化及びバイオセキュリティシステムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200628025A
報告書区分
総括
研究課題名
病原微生物の取扱におけるバイオセーフティの強化及びバイオセキュリティシステムの構築に関する研究
課題番号
H17-新興-一般-025
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 和良(国立感染症研究所バイオセーフティ管理室)
研究分担者(所属機関)
  • 篠原 克明(国立感染症研究所バイオセーフティ管理室 )
  • 高木 弘隆(国立感染症研究所バイオセーフティ管理室 )
  • 富田 康浩(国立感染症研究所バイオセーフティ管理室 )
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所感染病理部)
  • 清水 博之(国立感染症研究所ウイルス第二部)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 森川 茂(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 安藤 秀二(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 重松 美加(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病原体等を用いた実験室作業に従事する者の安全を図るための感染事故リスクを最小にするバイオセーフティ(BS)と、バイオテロを踏まえた盗難や意図的散布を防止する新しい概念であるバイオセキュリティ(BSec)は、時に相反もするが、相互に密接に関係する。国内のBS・BSecの実情を把握し、その体制構築および強化を行うことを目的とする。
研究方法
BS強化とBSec構築の小班に分け、必要な世界的な情報の収集・交換と検討、実験・実践による検証を行う。研修・訓練モデルプログラムの作成と実践、モデル資料・教材の作成、体制確立に必要なマニュアル、手技、システム、資材、評価方法等、病原体の適切な取り扱いに必要とされる成果物を順次発信する。BSecについては新概念であることから、海外における情報の提供も行う。
結果と考察
地方衛生研究所等の病原体取扱機関におけるBS・BSec体制、ポリオウイルスなどを含む病原体保有状況等についてアンケート調査および結果の解析検討を実施し、パイロット的な教育・研修を試みた。内容を特化したBSの技術開発と教育導入として、病原体を含む可能性の有る粉体の取扱いのためのグローブバッグの検討を行なった。国内外におけるBS・BSecについて総合的バイオリスク管理について情報収集と分析を行い、感染症法の改正により強化されるBS・BSecに必要な危険物輸送の安全確保に関する容器の検討、梱包訓練プログラムの準備、実践と、2006年に出版されたWHOによる研究施設バイオセキュリティガイダンスの翻訳と情報提供を行った。病原体の保存管理強化のため、IDタグを用いる新規セキュリティシステムの導入に関する調査を実施した。バイオセキュリティの知識の普及のためのシンポジウム、講演会、セミナー、及びバイオセーフティ強化のための一環として適正な病原体の輸送についてのトレーニングコースを開催した。病原体取扱いマニュアル、輸送トレーニングプログラム、WHO出版物の翻訳といったBS・BSec体制構築に必要な情報の発信を行ってきた。最終年度に向け、シンポジウム、トレーニングコースなどの開催と、教材のとりまとめに着手しているが、今後これらの方法や情報の提供形態について先進各国における情報を参考に、より効果的方法で国際的基準を満たす成果物を提供する。
結論
BS・BSecに関する国内の調査結果を踏まえ、世界的状況に関する継続的情報収集と提供、曝露事故マニュアルをはじめとした関連指針、実施要領、評価用ツールなどをシンポジウム、トレーニングコースなどの開催と合わせて実用化するための包括的な体制作りが必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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