正常眼圧緑内障の疾患感受性遺伝子の同定および迅速遺伝子診断キットの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200627017A
報告書区分
総括
研究課題名
正常眼圧緑内障の疾患感受性遺伝子の同定および迅速遺伝子診断キットの開発に関する研究
課題番号
H18-感覚器-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学大学院医学研究科生命分子情報医科学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 猪子 英俊(東海大学医学部分子生命科学系)
  • 伊藤 典彦(横浜市立大学大学院医学研究科生命分子情報医科学専攻 )
  • 遠藤 要子(横浜市立大学大学院医学研究科生命分子情報医科学専攻 )
  • 西出 忠之(横浜市立大学大学院医学研究科生命分子情報医科学専攻 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
緑内障は視神経に傷害をきたす進行性の難治性疾患であり、本邦の失明原因の第2位を占める。緑内障では一度失った視野は回復することはできないため、早期発見・早期治療が非常に重要である。緑内障は複数の遺伝要因が関与して発症する多因子疾患であると考えられており、緑内障の疾患感受性遺伝子危険因子を同定し、それらをもとに迅速遺伝子診断キットを開発することは、緑内障の早期発見・早期治療へとつながり、医学的価値は非常に高いといえる。本研究では、本邦に最も多い正常眼圧緑内障(NTG)患者を対象として、全ゲノムを網羅的にスクリーニングすることによりその疾患感受性遺伝子を全て同定することを目的とする。
研究方法
疾患感受性遺伝子のスクリーニングに先立ち、全ゲノムを網羅する3万個を目標として多型に富むマイクロサテライト(MS)の収集を行い、そのプレートセット化を試みた。また、Pooled DNA法の検討を行い、ゲノムワイドな高速MSタイピング系の構築を図った。さらに、遺伝子疾患としてより純粋な単一疾患に絞り込んだNTGを対象とするため、厳格なNTGの診断基準を作成するとともに、検体収集ネットワークを構築した。
疾患感受性遺伝子のスクリーニングでは、収集したMSのほか、50万種類以上のSNP を搭載するAffymetrix社のGeneChip® mapping 500kを用いて、全ゲノムを網羅的に解析した。
結果と考察
34,269個の多型MSマーカーの設定を行い、そのプレートセット化を完了した。さらに、Pooled DNA法の確立により、MSを用いた迅速な全ゲノム相関解析を可能にした。すでに、この系による1次MSスクリーニング(NTG患者群、健常群ともに138検体)を終了しており、約13.5%の陽性MSマーカーを検出した。今後、偽陽性のマーカーを除外するため、2次および3次MSスクリーニングを行い、陽性マーカーを絞り込む必要がある。また、GeneChip® 500kを用いたSNP解析で患者146検体について終了しており、今後、検体数を増やして解析を行っていく。
結論
今年度はNTG検体収集ネットワークの構築およびゲノムワイドな疾患感受性遺伝子スクリーニング系の構築を行い、NTG感受性遺伝子同定の基盤を整えた。すでに、MSおよびSNPを用いたゲノムワイドな相関解析を開始している。今後、検体の収集を精力的に行うとともに、ひき続き全ゲノムの網羅的解析を進めていき、NTGの疾患感受性遺伝子を全ゲノム上で明らかにしていきたい。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
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