精神障害者の二次的障害としての窒息事故および誤嚥性肺炎の予防とQOLの向上に関する研究

文献情報

文献番号
200626021A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の二次的障害としての窒息事故および誤嚥性肺炎の予防とQOLの向上に関する研究
課題番号
H17-障害-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山田 光彦(国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 輝彦(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 白川 修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健部)
  • 高橋 浩二(昭和大学歯学部口腔リハビリテーション科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神障害者のなかには、口腔内の乾燥、歯や歯肉の疾患を合併している例が多くみられる。実際、「窒息事故」や「誤嚥性肺炎」を契機とした全身状態の急速な悪化は精神障害者(とりわけ高齢患者や身体合併症患者)の極めて重篤な健康被害・死亡原因として特に重要でありQOLを大きく低下させる誘因となっている。そこで本研究では、精神障害の特性を踏まえた効果的なリスク評価法と支援法を開発することを目的とし研究を行った。
研究方法
精神科病院入院中の摂食/嚥下要支援者を適切な支援サービスへ結びつけるための手順、アセスメント方法、を具体的に検討した。さらに、摂食・嚥下機能に着目したすぐに役立つ生活機能支援のあり方を検討した。先行研究をもとに、非定型抗精神病薬および定型抗精神病薬に関して継続的な薬物療法の実態について検討するとともに、精神障害の特性を踏まえた効果的なリスク評価法と支援法を検討した。精神障害者の運動、睡眠を含む生活パターンを解析するために活動量の連続記録が最適であるかどうかの検討を行った。精神症状や薬原性錐体外路症状が著しいほどあるいは抗精神病薬投与量が多いほど、摂食・嚥下機能が減退していることを仮説として、統合失調症患者の摂食・嚥下機能と精神症状、薬原性錐体外路症状および抗精神薬投与量との関連を検討した。
結果と考察
簡易チェックリストに必要とされた評価項目、経過記録表を提案に示した。向精神薬の抗コリン性副作用による口腔乾燥、薬剤性錐体外路症状による摂食・嚥下機能不全のリスクとの際について十分な検討が必要であることが示された。睡眠覚醒リズムの乱れや夜間不眠のみられる患者では、日中覚醒時に睡眠が混入しやすい状態となる。睡眠は本来の役割から、筋緊張の低下、嚥下を含む反射機能を低下させる。連続活動量を測定することで、睡眠・覚醒の日常生活パターンが解析できる可能性が示された。今後は最大咬合力測定のような摂食・嚥下機能の定量的評価法あるいはより詳細な定性的評価法の導入することが必要であると思われた。
結論
現実的なリスク評価法と機能支援法を確立するにより、精神障害者が健康な口腔内環境を保持し適切な歯科保健サービスにアクセスできるバリアフリー社会の実現へ貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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