文献情報
文献番号
200626013A
報告書区分
総括
研究課題名
重度精神障害者の治療及び治療効果等のモニタリングに関する研究
課題番号
H16-障害-一般-019
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 和男(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 樋口 輝彦(国立精神・神経センター武蔵病院)
- 菊池 安希子(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
- 松本 俊彦(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
- 平林 直次(国立精神・神経センター武蔵病院)
- 野口 博文(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国の精神医療は、これまで、Evicence Based Medicineを実践してきたとは言い難い状況にある。そこで、本研究では、重度の精神障害を有する者に対する治療を統一プロトコルないしアルゴリズムに準拠して実施することによって、その治療効果を科学的評価していくことを目的とした。
研究方法
医療観察法の指定入院医療機関で実施可能な「統合失調症に対する認知行動療法CBT」を開発し、施行前後において病識等の変化を評価し、指定入院医療機関で物質使用障害の問題を抱える者にMatrix modelに準拠した治療プログラムも開発した。また、ケア・プログラム・アプローチ(CPA-J)を用いて、医療観察法入院25名と措置入院25名をマッチドペアとして比較検証した。「ストレス関連疾患に関する医療経済的研究」では強迫性障害OCDの6ヶ月lの治療転帰に関する要因を検討し、「うつ病患者の主体的治療参加促進に関する研究」では、うつ病治療補助ツールによるうつ病患者のうつ病や抗うつ薬に関する態度や信念を検討した。さらに、国際生活機能分類(ICF)の精神障害者(うつ病)に対するコアセット、機能及び障害に関する尺度を用いた評価を実施した。
結果と考察
CBTの導入プログラムを疾病教育後に試行することで病識獲得やうつ状態の軽減に効果があることが示された。また、従来の措置入院に比較すると、指定入院医療機関の医療では、拘束・隔離と抗精神病薬処方量が有意に少ないことが明らかとなった。OCDの治療前の症状が重篤でないことと暴露反応妨害法を受けたことが寛解と関連していること、うつ病補助ツールのようなサポート手段によって、治療に対する患者の積極性を高めることができることが示された。ICFでは、精神機能「活力レベル」「楽観主義」「思考の速度」等の項目で、また、活動と参加「問題解決」「ストレスへの対処」「ディスカッション」等の項目で障害が見られることが判明した。
結論
重度精神障害者の治療にはCBTに基づく治療プログラムが有効であることが示唆され、今後も治療プログラムの開発と有効性の検証が重要であると思われた。また、治療補助ツールなどのサポート手段によって、治療に対する患者の積極性を高めることができることが明らかとなり、ICFが精神障害者の機能及び障害の尺度として有用であることが判明した。
公開日・更新日
公開日
2007-04-17
更新日
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