幼児期・思春期における生活習慣病の概念、自然史、診断基準の確立及び効果的介入方法に関するコホート研究

文献情報

文献番号
200624050A
報告書区分
総括
研究課題名
幼児期・思春期における生活習慣病の概念、自然史、診断基準の確立及び効果的介入方法に関するコホート研究
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-049
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター(循環器・がん専門施設)小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 善也(日本赤十字北海道看護大学基礎科学講座 小児科学)
  • 花木 啓一(鳥取大学医学部保健学科)
  • 岡田 知雄(日本大学医学部 小児科)
  • 城ヶ崎 倫久(国立病院機構鹿児島医療センター(循環器・がん専門施設))
  • 大関 武彦(浜松医科大学 小児科学)
  • 徳田 正邦(尼崎市医師会、徳田こどもクリニック)
  • 馬場 礼三(愛知医科大学 小児科学)
  • 堀米 仁志(筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床医学系小児科)
  • 内山 聖(新潟大学大学院医歯学総合研究科・小児科学分野)
  • 篠宮 正樹(船橋市医師会、西船内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,908,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児の肥満形成期である幼児期と思春期を対象に包括的データ収集を行い、個々の生活習慣病(内臓肥満、高血圧、耐糖能異常、脂質代謝異常)の概念、自然史、頻度、病態を解明し、診断基準を確立すること、また解明された根拠に基づき介入試験を実施し、家庭、学校・保育所等、食品業界を含めた社会における一次・二次予防法を確立すること。
研究方法
研究開始にあたり、1979年から2005年までの5-17歳の横断的・縦断的肥満頻度の調査を行った。包括的データ収集のため、幼児期および高校生にボランティアとして生活習慣病検診に参加してもらい、現在までの発育歴、受診時の体格・血圧、血液生化学値、アディポサイトカイン・摂食促進/抑制ペプチドを測定した。一部では頚動脈エコーによる血管硬化度または血液凝固・線溶系データを収集した。得られたデータから、個々の生活習慣病とサイトカイン・ペプチド・炎症マーカー、血管内皮細胞機能・血液凝固線溶系との関連を決定した。
結果と考察
バブル期(1986?1991年)に男子は全年齢において肥満頻度が急上昇していた。バブル期に乳幼児期を過ごしたコホートはバブル経済崩壊後も高い肥満頻度が続いていた。血管硬化度は既に高校生の時期から高血圧や脂質異常と強い関連を持ち、血管病変は高校生時代に既に始まっていることが示唆された。幼児期の生活習慣病の発症過程に炎症機転やアディポサイトカインが強く関与しており、幼児期から内臓肥満になると凝固促進、線溶低下が出現することを証明したのは本研究が始めてと考えられる。腹囲は幼児期から性差が出現しており、6歳から18歳まで漸増していた。日本人幼児の血圧は米国の小児高血圧ガイドラインの基準値より収縮期血圧は高く、拡張期血圧は低かった。高校生では非肥満、肥満、高度肥満になるにつれ、高血圧、頻脈になる危険比が極めて高かった。Adiposity reboundに関しては高校生のデータでも、幼児期のデータでも3歳から6歳の時期に肥満になるとその後肥満であり続ける危険比が高かった。アンケートで幼児と保護者の生活習慣の関連性が強かったことから、幼児期、思春期ともに生活習慣と食習慣に関するアンケートを全国統一した書式で次年度から行うことにした。
結論
本研究により、基礎的、包括的データが収集でき始めただけでなく、従来考えられていた以上に幼児期、思春期の生活習慣病の一次、二次予防が急務になっていることが証明された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-