公衆浴場を利用した安全で有効な健康づくりに関する研究

文献情報

文献番号
200624025A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆浴場を利用した安全で有効な健康づくりに関する研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鏡森 定信(富山大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松井 利夫(福井県衛生環境研究センター)
  • 勝木 道夫((財)北陸体力科学研究所)
  • 大塚 吉則(北海道大学 大学院教育学研究院)
  • 松原 勇(石川県立看護大学 看護学部)
  • 関根 道和(富山大学 医学部)
  • 立瀬 剛志(富山大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,208,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公衆浴場を地域の健康づくりの拠点にすることを目的に疫学的および実験的な検討を行った。特に、併設の運動や飲食施設も含めて、メタボリック症候群、ストレス解消、介護予防など健康づくりに対応できる、安全で有効な施策のための知見と方法を提示することを目的とした。
研究方法
1.実験的介入研究
 1) 飲用カプセル型連続深部体温計による公衆浴場と家庭風呂の入浴の比較
 2) 公衆浴場とケアハウスにおける心身の健康づくりに関する実験的介入研究
2.公衆浴場の利用に関わる安全と健康面からの疫学的調査研究
3. 献的検討
 1) 人口動態統計からみた施設や家庭における溺死・溺水に関する検討
 2) 公衆浴場での健康づくりのために利用が可能な入浴法の適応と禁忌に関する調査
結果と考察
1. 公衆浴場における健康づくり
1)深部体温測定では家庭風呂に比較し公衆浴場入では、①入浴時にお深部体温が高い、②徒歩による外出と入浴で深部体温の上昇時間が長い、③入浴前の運動との組み合わせによる効用、④入浴後に飲食の機会を持って睡眠の質の低下を引き起こした。
2)公衆浴場で虚弱高齢者を対象に「運動機能向上教室を週1回、1ヶ月開催し、運動量増加、痛み軽減、生活の質向上など介護予防面で有用性であった。
3)ケアハウスでの週1回3ヶ月の入浴体操、椅子体操、健康講話からなる90分の介入群では長座位前屈やSF36の日常役割機能で改善がみられた。
4)公衆浴場利用者では、身体面で「さっぱり感」や「こり・疲れが取れる」、心理社会面で「知り合いに会える」が大半で支持された。経営者は、備えたい物として「マッサージ器(80%)」をあげ、「入浴券(80%)や運営への公的補助(70%)」を要望していた。
5)公衆浴場で利用可能な入浴法6種類とサウナについてその適応と禁忌を整理し示した。
2、公衆浴場における安全性
1)徒歩で平均9分の公衆浴場利用者1746人では、「転倒して迷惑をかけたことがある」が3.4%であった。
2)某県の全浴場組合加入公衆浴場を対象に行った調査では、平均営業年数は60.1年、死亡事故経験を有する浴場は11件(30%)だった。
3)人口動態統計の「不慮の溺死・溺水」では、平成7年度から毎年、施設や家庭内での「浴槽などでの溺死・溺水」は3,000人余りで、その90%が家庭内だった。
結論
家庭風呂に比較して公衆浴場での入浴の特異性を踏まえ、安全で有効な健康づくりのための調査研究を行い、実践的な利用法を提示した。

公開日・更新日

公開日
2007-06-11
更新日
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