生体指標を用いた日本人におけるミネラルの適正摂取量(AI)・許容上限摂取量(UL)の算定に関する栄養疫学的研究

文献情報

文献番号
200624013A
報告書区分
総括
研究課題名
生体指標を用いた日本人におけるミネラルの適正摂取量(AI)・許容上限摂取量(UL)の算定に関する栄養疫学的研究
課題番号
H16-循環器等(生習)-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 敏(独立行政法人国立健康・栄養研究所栄養疫学プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 上西 一弘(女子栄養大学栄養生理学研究室)
  • 武林 亨(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣に関する詳細な質問票に加えて採血と24時間蓄尿といった生体指標を含んだ調査(通称:詳細調査)のデータ解析を中心に、以下のような研究を実施した。
研究方法
本年度に実施した各個研究は次のとおりである。(1)エネルギー、たんぱく質、カリウム、およびナトリウム摂取量の申告誤差(詳細調査)。(2)栄養素および食品摂取量と血清レプチン濃度の関連(詳細調査)。(3)食べ物の硬さとbody mass index(BMI)および腹囲との関連(詳細調査)。(4)鉄欠乏性貧血の発症にかかわる因子の検討(詳細調査)。(5)食事摂取量と血清C反応性たんぱく質との関連(詳細調査)。(6)食事のエネルギー密度と代謝危険因子との関連(詳細調査)。(7)第2回詳細調査の粗集計。(8)小・中学生における貧血と栄養素摂取量との関連。(9)若年女性におけるリン摂取量と生体指標の関連。(10)食品中ヨウ素含有量の分析。(11)『日本人の食事摂取基準(2005年版)』の部分英訳。
結果と考察
詳細調査のデータから、以前から指摘されているエネルギーやたんぱく質摂取量の申告誤差だけでなく、カリウムやナトリウム摂取量の申告誤差も無視できないほど大きく、また、BMIと強く関連していることが示唆された(研究1)。また、複数の研究で、貧血の有病率はそれほど高くなく、鉄などの栄養素と貧血の関連は乏しいことが示唆された(研究4、8)。リンに関しては、摂取量がそれほど多くない場合には、血清無機リンや副甲状腺ホルモンなどには影響を与えないことが示唆された(研究9)。ヨウ素に関しては、日本人のヨウ素摂取量を推定するための基礎的研究として、約150食品のヨウ素含有量を測定した(研究10)。また、『日本人の食事摂取基準(2005年版)』の部分英訳を行った(研究11)。さらに、質の高い調査研究が実施できた結果として、ミネラルではないが、健康への影響が注目されている食事要因(食物繊維、食べ物の硬さ、エネルギー密度など)と健康との関連に関する知見が得られた(研究2、3、5、6)。また、詳細調査と同様の調査を、約700人を対象に実施した(研究7)。
結論
採血と24時間蓄尿のデータを含む詳細調査(第1回および第2回)のデータを有効に活用し、『日本人の食事摂取基準(2010年版)』の策定の基礎となるさらなる科学的根拠を築いていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-11-05
更新日
-

文献情報

文献番号
200624013B
報告書区分
総合
研究課題名
生体指標を用いた日本人におけるミネラルの適正摂取量(AI)・許容上限摂取量(UL)の算定に関する栄養疫学的研究
課題番号
H16-循環器等(生習)-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 敏(独立行政法人国立健康・栄養研究所栄養疫学プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 上西 一弘(女子栄養大学栄養生理学研究室)
  • 武林 亨(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業【がん、心筋梗塞、脳卒中を除く】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ミネラルの適正摂取量(目安量:AI)と許容上限摂取量(上限量:UL)を算定するための栄養疫学的研究として、主に以下のような研究を実施した。
研究方法
実施した主な研究は次のとおりである。(1)健康な成人におけるマンガン摂取量に関する研究:16日間秤量式食事記録法を用いた検討。(2)エネルギー・栄養素摂取量の日間変動が摂取量分布に及ぼす影響に関する研究:16日間秤量式食事記録法を用いた検討。(3)尿中ヨウ素測定方法の検討とヨウ素負荷時の尿中ヨウ素の測定。(4)食事摂取基準参考文献データベースの開発に関する研究。(5)若年女性(18?20歳程度)4000人を対象とした質問票調査(通称:新入生調査)の実施。(6)若年女性(18?22歳程度)500人を対象とした採血と24時間蓄尿を含む詳細な調査(通称:詳細調査)の実施。(7)エネルギー、たんぱく質、カリウム、およびナトリウム摂取量の申告誤差(詳細調査)。(8)鉄欠乏性貧血の発症にかかわる因子の検討(詳細調査)。(9)第2回詳細調査の実施(700人)。(10)小・中学生における貧血と栄養素摂取量との関連。(11)若年女性におけるリン摂取量と生体指標の関連。(12)食品中ヨウ素含有量の分析。(13)『日本人の食事摂取基準(2005年版)』の部分英訳。
結果と考察
マンガン、ヨウ素、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、リンといったミネラルに関して、日本人の食事摂取基準(2010年版)策定の際に有用な情報になるであろう科学的根拠を得ることができた(研究1、3、7、8、10、11、12)。また、すべての栄養素に関連する、食事調査における見積もり誤差や日刊変動に関する資料が得られた(研究2、7)。食事摂取基準に関わる情報の整理も行った(研究4、13)。いくつかの多施設共同型疫学研究で得られたデータは今後も活用可能であると考えられる(研究5、6、9)。
結論
ミネラルの食事摂取基準の策定に有用な資料を得ることができ、当初の目的を達成することができたと考えられる。今後は、本研究で得られたデータをさらに有効に活用していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-11-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200624013C