高悪性度軟部腫瘍に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200622023A
報告書区分
総括
研究課題名
高悪性度軟部腫瘍に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 幸英(九州大学大学院医学研究院整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 荒木 信人(大阪府立成人病センター整形外科)
  • 比留間 徹(神奈川県立がんセンター骨軟部腫瘍外科)
  • 尾崎 敏文(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科)
  • 吉田 行弘(日本大学医学部整形外科)
  • 守田 哲郎(新潟県立がんセンター新潟病院整形外科)
  • 中馬 広一(国立がんセンター中央病院骨・軟部組織科)
  • 内田 淳正(三重大学医学部整形外科)
  • 戸口田 淳也(京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野)
  • 矢部 啓夫(慶応義塾大学医学部整形外科)
  • 阿部 哲士(帝京大学医学部整形外科)
  • 土屋 弘行(金沢大学大学院医学系研究科機能再建学(整形外科))
  • 横山 良平(九州がんセンター整形外科)
  • 田仲 和宏(九州大学病院整形外科)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科整形外科)
  • 和田 卓郎(札幌医科大学医学部整形外科)
  • 井須 和男(北海道がんセンター整形外科)
  • 舘崎 愼一郎(千葉県がんセンター整形外科)
  • 高橋 満(静岡県立静岡がんセンター整形外科)
  • 川口 智義(癌研究会有明病院整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍は、円形細胞肉腫と非円形細胞肉腫に大別され、後者が大多数を占める。円形細胞肉腫に対する化学療法の有効性は証明されているが、非円形細胞肉腫に対しては世界的にも未だ標準治療が確立されていない。本研究は、四肢に発生する高悪性度軟部腫瘍の大部分を占める非円形細胞肉腫に対する標準治療を確立することを主目的とする。また、予後不良の再発・進行例、高齢発生例に対する検討も行い、将来のさらなる軟部肉腫の治療成績向上のため、新しい診断・治療法の開発も目的とする。
研究方法
現時点でもっとも有効かつ実施可能と考えられるADM+IFO併用術前術後化学療法の有効性と安全性を第II相試験により評価する。対象は、四肢原発の手術可能な高悪性度非円形細胞軟部肉腫(AJCC病期分類Stage III)である。プライマリエンドポイントは奏効率、症例集積期間は4年間、予定登録症例数は75例である。また、軟部肉腫に対する集学的治療法の開発なども行った。肉腫の薬剤耐性の分子機構、遺伝子発現プロファイリングなどの解析を行い、腫瘍抗原特異的な免疫療法の開発を試みた。
結果と考察
高悪性度軟部腫瘍のADM+IFO化学療法の第II相試験では、主要26施設による全国規模の研究組織をJCOG骨軟部腫瘍グループとして整備し、IRB審査を経てグループ内で症例集積中である。本研究により本疾患に対する標準治療を確立することは世界的にも極めて意義深いと考えられる。再発・進行例、高齢者での治療成績について検討を加え、病理学的悪性度と至適切除縁に関する解析を行った。また、肉腫の薬剤耐性機構と有効な分子標的治療薬の検索を実施した。遺伝子発現プロファイリングによって、肉腫の腫瘍浸潤・転移と関連する遺伝子を同定し、新しい治療標的となる可能性が示された。WT1遺伝子産物などを標的とした腫瘍特異的免疫療法の可能性も示唆された。
結論
四肢に発生する高悪性度非円形細胞軟部肉腫を対象に、現時点でもっとも有効性が期待され実施可能と考えられるADM+IFO併用による術前術後化学療法の有効性と安全性を検討する第II相試験を開始した。本研究によって、ADM+IFO療法の有効性が認められれば、高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する標準的治療法の確立が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
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