悪性脳腫瘍の標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200622022A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性脳腫瘍の標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
渋井 壮一郎(国立がんセンター中央病院 第二領域外来部脳神経外科)
研究分担者(所属機関)
  • 嘉山 孝正(山形大学 脳神経外科)
  • 隈部 俊宏(東北大学 脳神経外科)
  • 倉津 純一(熊本大学 脳神経外科)
  • 澤村 豊(北海道大学 脳神経外科)
  • 高橋 英明(新潟県立がんセンター新潟病院 脳神経外科)
  • 田中 克之(聖マリアンナ医科大学 脳神経外科)
  • 藤堂 具紀(東京大学 脳神経外科)
  • 永根 基雄(杏林大学 脳神経外科)
  • 西川 亮(埼玉医科大学 脳神経外科)
  • 藤巻 高光(帝京大学 脳神経外科)
  • 別府 高明(岩手医科大学 脳神経外科)
  • 村垣 善浩(東京女子医科大学 脳神経外科)
  • 矢崎 貴仁(慶応義塾大学 脳神経外科)
  • 角 美奈子(国立がんセンター中央病院放射線治療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在なお治療困難な悪性脳腫瘍、特に悪性神経膠腫に対する標準的治療を確立し、治療成績の向上を図ることを目的とする。
研究方法
「星細胞腫grade3・4に対する化学放射線治療としてのACNU単独療法とProcarbazine+ ACNU併用療法とのランダム化比較試験(Phase II/III試験)(JCOG 0305)」というタイトルのプロトコールを作成し、多施設共同試験を行った。対象は、星細胞腫grade3およびgrade 4で、年齢は20歳から69歳。手術または生検により、組織診断確定後、14日以内に登録し、症例の割り付けを行う。A群としては、放射線開始時および36日目にACNU 80mg/m2を静脈内投与し、60Gyの局所照射を行い、さらに8週ごとに同量のACNUを再発まで、最大12コース投与する。B群としては、放射線治療開始と同時および36日目より10日間procarbazine 80mg/m2の経口投与を行い、8日目および43日目にACNU 80mg/m2を静脈内投与する。照射後の維持療法時も同様に10日間のprocarbazineの投与の8日目にACNU静脈内注射を行い、これを最大12コース実施する。B群56例について、primary endpointを6ヵ月生存割合、secondary endpointを有害事象発生割合として第II相試験を行い、有効性・安全性を確認後、第III相試験に移行する。5年間で310例の症例登録を予定しており、primary endpointを生存期間、secondary endpointを無増悪生存期間、奏効割合、有害事象発生割合として比較する。
結果と考察
平成18年8月末までに111例(B群56例)の登録があり、第II相試験の登録が終了した。6ヵ月の経過観察期間を経て、本プロトコールの安全性および有効性について検討中である。一方、18年9月に、欧米で有効性が証明されたTemozolomideが国内でも認可され、この薬剤を用いた臨床試験の必要性とも相まって、本試験をこの段階で終了し、新たな試験を開始することを決定した。
結論
本臨床試験は、脳腫瘍で初めてのJCOG studyであり、第II相段階で悪性脳腫瘍に対する国内最大の臨床試験となった。これにより国内での臨床試験を遂行する基盤ができたことになり、今後の脳腫瘍に対する臨床試験を実施する上で、極めて意義深いものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
-