がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発

文献情報

文献番号
200621036A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発
課題番号
H18-3次がん-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山田 哲司(国立がんセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 格(国立がんセンター研究所)
  • 本田一文(国立がんセンター研究所)
  • 西村俊秀(東京医科大学)
  • 永井秀雄(自治医科大学)
  • 安波洋一(福岡大学)
  • 土田明彦(東京医科大学)
  • 井岡達也(大阪府立成人病センター)
  • 奥坂拓志(国立がんセンター中央病院)
  • 斎藤 豊(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
66,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん検診で無症状の段階でがんを発見し、早期に治療を開始することが有効ながん対策法の一つと考えられる。本研究班では、血液を検体に用い、精密検診を行うべき症例を効率良く絞るプレスクリーニングに使用できる新規腫瘍マーカーを開発することを最終的な目的としている。平成17年度までに高分解能・高質量精度の質量分析装置を使用し、難治性の高い膵がん患者を90%以上の正診率で診断でき、さらに既存の腫瘍マーカーであるCA19-9と組み合わせることで、病期I期の早期症例を含めた100%が検出可能な新規腫瘍マーカーを開発した。
平成18年度よりは対象を膵以外の臓器にも範囲を拡げ、より汎用性の高いがん検診に応用可能な血液診断法に発展させること、遠隔地を含めた全国の医療機関にも対応できる搬送システムを確立することを目的とした多施設共同研究を開始した。
研究方法
各地のがん医療の中核となる6つの医療機関が参加する班組織により全く同一の採血、輸送、保存プロトコールで、膵がん以外にも胃がん、大腸がん、などの比較的罹患率の高いがんの罹患者、および鑑別疾患の対象となる良性疾患患者および健常者から血清・血漿を匿名化された精度の高い臨床情報とともに集める多施設共同研究を開始した。
結果と考察
平成19年3月5日現在までに344症例分の血液検体の収集が進んでいる。採血の3ヶ月後に報告される病名調査が終了し、臨床診断名が確定したものは89症例分あった。その内訳は、浸潤性膵管がんが40例、浸潤性膵管がん以外の膵腫瘍・膵のう胞が12例、膵臓以外の悪性腫瘍が23例、慢性膵炎8例、健常者、膵臓以外の良性疾患と健常者6例であった。浸潤性膵管がん40例のうち、UICCのステージではI期が2例、2期が6例、III期が21例、IV期が13例であった。測定した既存の腫瘍マーカーのCA19-9、CEA、およびDUPAN-2の陽性率はそれぞれ、85%、35%、63%であった。
結論
臨床検体のプロテオーム解析を行う場合は、その検体の採血、保存方法で、結果は大きく左右される。今回われわれは日本全国の地理的に異なる計6施設から同一の方法で検体を採取して輸送・保存する実際の臨床検査を想定したシステムを構築した。この検体を用いことにより、実用化した場合に近いデータが取得できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-25
更新日
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