文献情報
文献番号
200621023A
報告書区分
総括
研究課題名
QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-3次がん-一般-032
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
内富 庸介(国立がんセンター東病院臨床開発センター 精神腫瘍学開発部)
研究分担者(所属機関)
- 下山 直人(国立がんセンター中央病院緩和医学)
- 明智 龍男(名古屋市立大学大学院医学系研究科精神腫瘍学)
- 森田 達也(聖隷三方原病院緩和医学)
- 岡村 仁(広島大学医学部保健学研究科リハビリテーション医学)
- 秋月 伸哉(国立がんセンター東病院臨床開発センター 精神腫瘍学開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん患者のQOL概念を明らかにし、QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発を行う。
研究方法
日本における「望ましい生・死の過程・死」について質的研究を行い、終末期のQOL概念化を行う。その結果をもとに量的研究を行い、QOL向上を妨げている要因を解明し、ケアプログラムの提示を行う。また、がん患者のつらさおよびニーズに関して、身体・心理・スピリチュアルの多次元的側面から調査および病態解明研究を行い、評価法をおよび各種患者支援プログラムを開発する。同時に、文献の系統的レビューによるガイドラインの作成を行う。最終的に、QOLの概念と整合性を有する、4つの次元に対する患者支援プログラムを体系化し、ガイドラインとあわせてがん患者包括的支援システムを開発し、全国的均てんを図る。
結果と考察
1) 前年度までに行った患者-医師間のコミュニケーションに対する意向調査の結果に基づき、医師が悪い知らせを伝える際のコミュニケーション・テキストを作成し、本テキストを用いたコミュニケーション技能訓練プログラムを開発した。2)膵がん患者におけるうつ病エピソードの有無と梁下野前帯状回の安静時糖代謝に関連があることが示された。3) 前向きコホート調査の結果、がん患者の心理社会的要因が予後に与える影響は小さいと考えられた。4) オピオイドの作用部位はオピオイドの種類により優位な場所が異なることを明らかにし、オピオイド処方にあたっての選択基準作成に貢献する知見を得た。5) 日本における終末期のQOLは、18の要因からなる概念であることを明らかにし、因子妥当性、構成概念妥当性、内的一貫性、再試験信頼性のあるQOL評価尺度を開発した。6) がん患者のニードの実態、およびニードと精神症状、QOLとの関連を検討し結果、満たされていない患者ニードへの介入が、精神的苦痛軽減およびQOL向上に有用である可能性が示唆された。7) 全国の医療機関におけるがんリハビリテーションの実態調査の結果、がん患者に対するリハビリテーションプログラムの普及・開発に向けた戦略を検討する必要があることが明らかとなった。
結論
日本におけるがん患者のQOL向上を目指した包括的支援システムの開発につながることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2007-05-06
更新日
-