子どもの心の診療に携わる専門的人材の育成に関する研究

文献情報

文献番号
200620021A
報告書区分
総括
研究課題名
子どもの心の診療に携わる専門的人材の育成に関する研究
課題番号
H17-子ども-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 正義(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 定信(東京女子大学文理学部心理学科)
  • 奥山 眞紀子(国立成育医療センターこころの診療部)
  • 齊藤 万比古(国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精神保健部)
  • 庄司 順一(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所 (青山学院大学))
  • 星加 明德(東京医科大学医学部小児科学教室)
  • 保科 清(医療法人財団順和会山王病院)
  • 穂積 登(医療法人慶竹会ホヅミクリニック)
  • 宮本 信也(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 吉田 敬子(九州大学病院精神神経科児童精神医学研究室)
  • 加藤 明美(あいち小児保健医療総合センター看護科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもの心の診療に関する需要と供給の実態を調査し、得られたエビデンスに基づいて子どもの心の診療に関する望ましい医療システム、それを担う医師及び看護・コメディカルの教育・研修システムの提案等を行う。

研究方法
 本年度は、昨年度に実施した全国の保育園と小・中学校に対する調査データを詳細に分析するとともに、幼児・学童の保護者からみた子どもの行動問題についてのアンケート調査を実施した。医療提供側における子どもの心の診療体制と人材の教育・研修体制については、各分担研究者が昨年度行った研究を継続・発展させる形で多面的に検討し、子どもの心の診療を担う人材の育成システムについて提案した。なお、本年度から専門性を有する看護師の育成に関する研究が分担研究として加わった。
結果と考察
 保育園と小・中学校を対象とする調査で、約80%の保育園あるいは小・中学校で、子どもの心の問題への対応経験を有しており、対応が必要な心の問題をもつ子どもの頻度は、保育園で4.57%、小学校で2.96%、中学校で4.08%であった。保護者からみた子どもの行動問題は25年前と比べて、量・質とも変化している可能性が示唆された。医療提供側に関しては、子どもの心の診療に携わる医師について、一般小児科医・精神科医から高度の専門性を有する医師まで、多面的に教育・研修のあり方が提案され、看護・コメディカルについても研修の方向性について提言がなされた。さらに、研修において利用されるテキストとして「一般小児科医に望まれる子どもの心の診療(仮題)」と「子どもの心の診療医専門研修用テキスト(仮題)」の企画・編集に参画した。
結論
 実態調査の結果から子どもの心の診療の必要性が明確化するとともに、それに対応する医療・研修体制の実態と問題点も明らかになった。調査結果を踏まえて、子どもの心の診療に携わる医師をはじめとする専門的人材の育成に関して、多岐にわたる示唆が得られ、また、研修等に利用されるテキストの作成に参画した。来年度は、専門性に応じて分類した医師それぞれ、また、看護・コメディカルの教育・研修のガイドラインをまとめ、それに基づいて実施した研修会等を通じて、ガイドラインやテキストの効果判定を行い、よりよい人材育成システムの提案につなげたい。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
-