全国調査に基づく高齢者骨折の発生及び治療実態に関する研究

文献情報

文献番号
200619094A
報告書区分
総括
研究課題名
全国調査に基づく高齢者骨折の発生及び治療実態に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-036
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
萩野 浩(社団法人日本整形外科学会)
研究分担者(所属機関)
  • 阪本桂造(昭和大学医学部)
  • 遠藤直人(新潟大学医学部)
  • 井樋栄二(東北大学医学部)
  • 中野哲雄(公立玉名中央病院副院長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国における高齢者骨折の発生頻度、治療状況、予後、骨代謝異常、再骨折防止のための治療状況を明らかとすること。
研究方法
1.大腿骨近位部骨折の治療状況調査
 国内で大腿骨近位部骨折の治療を行うすべての整形外科関連施設3,453を対象として、2005年1年間に受傷した大腿骨近位部骨折の患者を調査した。

2.定点観察による大腿骨近位部骨折患者予後調査
 平成11-13年に発生し登録された大腿骨近位部骨折患者を対象とし、骨折後6-8年後の身体機能・生命予後について追跡調査を行った。

3.定点観察による脊椎骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位端骨折予後調査
 脊椎圧迫骨折、橈骨遠位部骨折、上腕骨近位部骨折それぞれについて全国各地の7-8施設に協力を得て、初診時、退院時、12カ月経過時に、追跡調査を行う。

4.高齢骨折患者の骨代謝動態の検討
 大腿骨近位部骨折を対象に、25(OH)Dの他、骨代謝マーカーを測定した。

5.骨折治療患者の骨粗鬆症治療実態調査
 日本整形外科学会員名簿からの1割にあたる2,157名をランダムに選択して、郵送アンケート調査を行った。
結果と考察
1.大腿骨近位部骨折の治療状況調査
 50,006例の登録があり、最終的に35歳以上の46,145例が登録解析された。患者数は80歳代が最も多く、経年的には90歳以上の患者数の増加が顕著であった。初期治療のための入院期間は経年的に短縮傾向にあったが、都道府県でばらつきが見られた。術前待機期間も都道府県で差が見られ、入院期間と術前待機期間とには正の相関が見られた。

2.定点観察による大腿骨近位部骨折患者予後調査
 調査対象への郵送調査を施行し、回収を行った。

3.定点観察による脊椎骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位端骨折予後調査
 調査票を作成し、施設登録と調査準備を行った。

4.高齢骨折患者の骨代謝動態の検討
 骨折患者のビタミンD不足は77.6%に達していた。またビタミンDレベルは骨折リスク因子であると同時に活動性、認知症との関連が見いだされた。

5.骨折治療患者の骨粗鬆症治療実態調査
 調査対象の34.4%から回答が得られた。大腿骨近位部骨折後の骨粗鬆症治療薬は50.7%で投与が行われ、第1位に選択されているのは窒素含有ビスフォスフォネートであった。
結論
 わが国の高齢者骨折に関して、その発生頻度と経年推移、身体機能・生命予後、発生リスク、骨代謝異常、予防治療の実態が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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