高齢者の転倒予防に関する研究

文献情報

文献番号
200619090A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の転倒予防に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-032
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田村 俊世(国立大学法人千葉大学 工学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
転倒は、環境因子が重大な影響を与えるが、加齢にともなう身体バランス機能の低下が大きい要素を占めることが云われている.そこで静的・動的身体バランスを簡便に測定できる機器、バランス機能維持のための訓練システムの作成、骨折予防のための転倒衝撃吸収システムの開発(吉村)、転倒リスクのない住宅環境の改善の提言、さらに看護師、作業療法士を中心とした転倒のリスクアセスメントの作成を計画している.これらの機器開発ならびに精神面からのケアを行うことによって、高齢者の尊厳を保ち、転倒予防、行動の拡大が現実のものになることが期待できる.
研究方法
1)静的・動的身体バランスを簡便に測定できる機器
2)バランス機能維持のための訓練システムの作成(
3)骨折予防のための転倒衝撃吸収システムの開発.
4)転倒リスクのない住宅環境の改善の提言
5)看護師、作業療法士を中心とした転倒のリスクアセスメントの作成.

結果と考察
1) 静的・動的身体バランスを簡便に測定できる機器 本研究では、弱い後方向への水平外乱を与えたときの接地面積の変化から、外乱負荷時の動的バランス評価指標を検討した.本研究結果から、弱い外乱での接地面積の最小値の平均値、RMS値の標準偏差が、評価指標になりえることを示せた.
2) バランス機能維持のための訓練システムの作成 自己相関には両歩行間の差異は見られなかった.刺激を与えた場合の方が前後左右方向の歩行中の体の揺れが小さくなっていた.
3) 骨折予防のための転倒衝撃吸収システムの開発 転倒中の加速度波形より、簡便なアルゴリズムを用いて、すべての転倒の予兆を検出可能であった.
4) 転倒リスクのない住宅環境の改善の提言 小規模生活単位型ホームなど、家庭的な雰囲気を持ち、居住者の快適性とプライバシー確保を最大限に確保するような施設デザインにおいては、転倒事故を防ぐための、空間規模、諸施設の連携、室のしつらいや家具配置、および仕上げ材の選定などの要因が大きく関わっている.一方、転倒事故を皆無にすることはかなり難しいのも事実であり、仮に転倒があった場合、事故を最小限にとどめる対策を建築学的に考察することも重要であることが示唆された.
5) 転倒のリスクアセスメントの作成 今回の調査において脳血管障害が原因で要介護状態になった方の歩行レベルは各項目で低下しており転倒のリスクに大きく影響しているものと思われた
結論
日常の転倒を回避するバランス機能を測定する機器開発、さらにバランス機能を改善する装置、転倒した時、骨折を防ぐシステムの開発を行った.さらに環境の整備や居住環境の整備などについても検討を加えた

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-