認知症における標準的なケアモデルの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200619088A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症における標準的なケアモデルの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-030
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 伸司(認知症介護研究・研修仙台センター)
研究分担者(所属機関)
  • 内藤 佳津雄(日本大学)
  • 内出 幸美(社会福祉法人 典人会)
  • 阿部 哲也(認知症介護研究・研修仙台センター)
  • 矢吹 知之(認知症介護研究・研修仙台センター)
  • 吉川 悠貴(認知症介護研究・研修仙台センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は認知症高齢者の属性別「コミュニケーション」「活動」「生活支援」「環境支援」の実態把握と評価項目の提案を行い、次年度研究の基礎資料とする事を目的とする。
研究方法
 対象者はグループホーム等に入居する認知症高齢者68名であり、調査期間中の1日における「職員と高齢者の発語」「職員の支援行為」「対象者の行為及び活動」について参与観察を実施し、属性(年齢、性別、要介護度、原因疾患、入居期間、罹患期間、Barthel Index、HDS-R、BEHAVE-AD)との関連を検討した。
結果と考察
<状態像モデルの構築に関する研究>
 調査対象者68名は認知機能(HDS-R)、BPSD(BEHAVE-AD)、ADL(Barthel Index)の程度と、原因疾患によって4タイプの分類が可能であることが示唆された。
<支援行為の実態に関する研究>
 「洗面・手洗い」「口腔ケア」支援実施群は認知機能が重度、「排泄」「行動上の問題」への支援実施群はBPSDが重度、「洗面・手洗い」「移動」「排泄」の支援実施群はADLが重度、「調理」「配膳・下膳」「食器の後片付け」「洗濯」「清掃」への支援実施群はADLが軽度の傾向が明らかとなった。
<活動実態把握と支援モデルの提案>
 家事活動実施群(食事準備や後かたづけ)は要介護度軽度、認知機能、ADLが高く、洗濯ものたたみや掃除実施群はADLのみ高く、散歩実施群は認知機能が低く、BPSD程度が重度である傾向が明らかとなった。
<コミュニケーション手法の実態把握>
 コミュニケーションの傾向は、ADLと認知機能が低い高齢者とのコミュニケーション量や職員からの働きかけが多く、職員は指示や誘導、高齢者は同意や受容に関する発話が多い傾向が認められた。
<環境支援モデルの検討>
 外出活動頻度には入居期間、ADL、見当識への支援が、雑談交流活動には認知機能、環境における刺激の質やふれあいの促進が、ADL関連行為頻度へは年齢、ADL、安全と安心への支援、自己選択への支援が影響していることが示唆された。
結論
 本研究の結果より、ADLが重度の場合は「基本的生活行為」「くつろぎ」「会話」への、中度以上の場合は「食事の準備や片づけ」「洗濯」「清掃」への支援評価指標が、又、認知機能が中度以上は「食事の準備やあとかたづけ」、重度は「口腔ケア」支援に関するモデル作成と評価指標の必要性が示唆された。今後は、認知機能及び身体機能を主要因、年齢、性別等を副要因とした基本的生活の自立度に応じたケア評価項目を基本に、ADLが中度以上について認知機能に応じた評価項目の必要性が示唆されたといえるだろう。

公開日・更新日

公開日
2007-06-20
更新日
-