アルツハイマー病神経原線維変形包括的抑止法に関する研究

文献情報

文献番号
200619087A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病神経原線維変形包括的抑止法に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
武田 雅俊(大阪大学大学院・医学系研究科情報統合医学講座 精神医学)
研究分担者(所属機関)
  • 工藤 喬(大阪大学大学院・医学系研究科情報統合医学講座 精神医学 )
  • 田中 稔久(大阪大学大学院・医学系研究科情報統合医学講座 精神医学)
  • 長谷川 成人(東京都精神医学総合研究所)
  • 高島 明彦(独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アルツハイマー病の神経原線維変化の治療として、対象をタウの重合抑制と代謝促進に絞り、タウの凝集・線維化抑制剤、ユビキチン化促進、プロテアソームの活性化、オートファジーの活性化に検討を加え、包括的な神経原線維変化の治療法確立をめざす。
研究方法
①タウ重合抑制剤の検索
リコンビナントタウを用いた線維形成試験管内モデルに種々の薬剤を加え、線維形成を電顕による定性評価とチオフラビンSの蛍光測定にて検討した。
②タウのユビキチン化促進法の検討
ユビキチンリガーゼCHIPのタウ蛋白分解代謝への作用を検討し、CHIPノックアウトマウスの解析を行った。
③プロテアソーム活性法の検討
あらかじめ低濃度のプロテアソーム阻害剤を投与しておくと、その後に高濃度のプロテアソーム阻害剤を投与してもある程度の阻害抵抗性を示すという現象を発見し、プロテアソームトレランスと名付け、マイクロアレイによって関連する遺伝子の検討を行った。
④タウ結合蛋白とタウ代謝への関与の検討
Ser214部位がリン酸化されているタウが14-3-3蛋白と結合するか免疫沈降法にて検討した。
⑤凝集タウの除去をめざしたマクロオートファジー促進法の検討
Aβ負荷がマクロオートファジーを誘導するか、LC3抗体を用いた免疫ブロット及びLC3-GFPを導入した細胞で検討した。
結果と考察
ポリフェノール、フェノチアジン、ポルフィリン、コンゴーレッド誘導体の系統の化合物に強いタウ線維化抑制効果を認めた。
CHIPが関与するUPS系は異常なタウを選択的に分解し細胞死を抑制した。また、CHIPノックアウトマウスではタウのリン酸化が亢進していた。
プロテアソームを活性化させるプロテアソームトレランス現象についてマイクロアレイによる解析を行い、Nrf2によってプロテアソーム活性が上昇し、タウの蓄積を抑えることが示された。
タウ結合蛋白14-3-3蛋白はタウのリン酸化によってその結合を増強することが示され、タウ代謝への関与が示唆された。
Aβ負荷したSK細胞の免疫ブロットにてLC3-Ⅱの上昇が見られマクロオートファジー誘導が示唆された。GFP-LC3導入細胞でもドット状のGFP-LC3が顕微鏡観察され同様にマクロオートファジーを誘導されていることを示唆する所見が得られた。

結論
結論
タウの重合抑制と代謝促進は、神経原線維変化の阻止法に応用化可能なことが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-06-20
更新日
-