小規模な高齢者介護施設等における感染管理に関する研究

文献情報

文献番号
200619064A
報告書区分
総括
研究課題名
小規模な高齢者介護施設等における感染管理に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 健(東北大学大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
インフルエンザやノロウイルスの高齢者介護施設での集団発生やその後の拡大などが多くの地域で報告されてきており大きな問題となってきている。小規模施設においては大規模な施設に比較して感染管理に対する注意が払われにくく、介護施設に対しての感染予防やそのためのマニュアルが完備されているとは言い難い。このため、本研究において、小規模な介護施設における感染管理の実態を明らかにするとともに、通常の業務の中での感染管理の方法や早期に異常を発見し、医療機関等との連絡調整方法、調査のあり方といった感染管理及び危機管理体制について検討していく。
研究方法
全国認知症グループホーム協会に加盟している施設、全国1,899ヶ所のグループホームを対称にして自己記入式の調査票を送付し、施設における感染管理の調査を行った。また、地域密着サービスを担当する関係者や指導監督する市町村の関係者並びに感染管理に関する専門家などとともに検討を重ね、実際に特別養護老人ホームや認知症対応型グループホームなどを視察して現状の課題について把握を行った。
結果と考察
認知症グループホームの調査では、684ヶ所から回答を得た(回収率36%)。入所者が経験した感染症については、インフルエンザが26%とトップであり、疥癬14.5%、ノロウイルス感染症12%、MRSA8.2%であり、これらの感染症が入所者で多く見られる感染症であることがわかった。施設内での集団発生については、ノロウイルス感染症が9.8%と最も多く、以下インフルエンザ7.9%、疥癬4.7%と続いた。MRSAについては集団感染は経験していないものの保菌者への対応は施設によって大きく異なっていた。インフルエンザについては、施設職員及び入所者に対して、全員あるいは希望者について多くの施設でワクチン接種が行われていた。MRSAの保菌者(感染者でない)場合の対応については、特別な対応をしていない施設が10.1%、個室隔離(3.9%)、ガウン着用や消毒剤の設置(3.5%)となっており、施設により対応が様々であることがわかった。ノロウイルス感染症対策として、嘔吐物の処理については手袋着用については90.1%であったが、マスクの着用については60.1%の施設のみであった。
結論
高齢者認知症グループホームにおける感染症と感染管理の実態が明らかになった。体制など感染管理がしっかり行われている部分もあるが、改善すべき課題も少なくなかった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
-