低侵襲かつ簡便な摂食・嚥下機能評価システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200619062A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲かつ簡便な摂食・嚥下機能評価システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
金高 弘恭(東北大学大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小坂 健(東北大学大学院歯学研究科)
  • 五十嵐 薫(東北大学大学院歯学研究科)
  • 薮上 信(東北学院大学工学部)
  • 荒井 賢一((財)電気磁気材料研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
13,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 摂食・嚥下機能障害は脳卒中などの疾患の後遺症としてだけでなく、加齢現象のひとつとして発現することも多く、経管栄養を必要とする場合があるなど「食べる楽しみ」を奪うだけでなく、誤嚥性肺炎や低栄養状態のリスクを高めるなど、高齢者の生活の質を著しく低下させる要因と考えられている。このような摂食・嚥下障害に対しては、現在、主としてビデオ嚥下造影検査(Video Fluorography:以下、VFと略す)やビデオ内視鏡検査(Video Endscopy:以下、VEと略す)を利用した機能評価や治療が行われているが、長時間のX線被爆の問題や違和感の大きな内視鏡の挿入など、高齢者にとって負担の大きな検査であるのが実状である。
 本研究では、口腔や咽頭など遮蔽された空間内での位置検出が可能な磁気式システムの特徴を生かし、摂食・嚥下機能の評価・治療に従来より用いられてきたVFやVEに代わりうる、①低侵襲で簡便、②高精度、かつ③低コストでの利用が可能な新しい摂食・嚥下機能評価システムを構築すること目的とする。
研究方法
 外部磁界による励磁が可能なLC共振型ワイヤレス磁気マーカ(以下、LCマーカ)を利用したモーションキャプチャシステムにより、摂食・嚥下機能の評価を行う。今年度は、その基本システムとして、直径3 mm,長さ10 mmのフェライト磁心に施した120~500回の巻線の両端にチップコンデンサが接続したものをLCマーカとして利用したシステムを構築した。
結果と考察
 本基本システムにより、6つのLCマーカの同期的な計測を1mm程度の測定誤差で行うことが可能であることを確認した。さらに生体用として特化したLCマーカの開発にも着手し、薄膜コイルを積層したもの及びアモルファスリボンを積層したものといった2つの系統で、Q値およびS/N比の向上が認められ、より小さいマーカによる測定精度の高いシステムの構築が可能になると考えられる。
結論
 新しい摂食・嚥下機能評価システムが完成し、介護予防の対象者の選定に利用されるようになれば、より適格な対象者を把握することができるため、無駄を減らし、サービスが真に必要な人に対し効率的にサービスを提供できるようになると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-05-24
更新日
-