文献情報
文献番号
200619050A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の望ましい終末期ケア実現のための条件整備に関する研究―介護保険施設における終末期ケアの検討を中心に
課題番号
H17-長寿-一般-040
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梶井 英治(自治医科大学地域医療学センター地域医療学部門)
研究分担者(所属機関)
- 田宮菜奈子(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
- 有賀悦子(国立国際医療センター緩和ケア科)
- 大久保一郎(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
- 柏木聖代(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,184,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
介護老人福祉施設における終末期ケアマニュアル・終末期の希望確認用紙の作成状況、施設内死亡退所者の要因の実証研究、介護保険施設における終末期看護提供体制の検討、事前意思決定プロセスの検討、終末期に対する一般医師の意識とその関連要因、施設内死亡退所者の費用の検討を目的とした。
研究方法
都内93介護老人福祉施設に対し郵送自記式調査と終末期ケアマニュアルと終末期の希望を確認する用紙の返送を依頼した。介護老人福祉施設で聴取された家族の終末期の希望について検討を行った。認知症を有するがん患者のプロセスレコードの作成、がん治療を行う医師339名を対象とし一般医師の終末期ケアへの意識に関する自記式質問紙調査を実施した。平成12から15年「介護サービス施設・事業所調査」の個票・施設票データで、施設内死亡者の特性の検討、施設内死亡者が2人以上の施設の特性を検討した。看取り看護加算導入以降の介護老人福祉施設内死亡者3人の施設内で受けた医療による医療費等を検討した。
結果と考察
回答のあった61介護老人福祉施設のうち、終末期ケアマニュアル、終末期の希望確認用紙があるとした施設は各々24、29施設であった。職員向けの終末期ケアの研修会を本年度実施したのは33施設であった。調査対象の1施設では、約3割の家族が終末期に施設での看取りを表明したが、そのうち4分の1は入院が必要であれば入院を希望することを同時に表明していた。認知障害を有するがん終末期患者において、事前意思の伝達と家族内コミュニケーション、症状緩和が共通性を有していた。がん治療に関わる医師調査の結果、8割の医師が特別養護老人ホームでの看取りを肯定的な回答をよせた。「介護サービス施設事業所調査」のデータ解析の結果、介護老人保健施設や介護療養型医療施設が殆どの医療処置を施設内で提供していたのに対し、介護老人福祉施設では医療処置を施設内で実施せず病院搬送が行われていることが推測された。介護老人福祉施設において常勤医師が、施設内死亡と関連する傾向があった。施設内死亡者3人の死亡前30日間に、併設診療所から保険請求のあった医療費は1日あたり5000円未満であった。
結論
終末期ケアにあたる職員は、状況により希望が変化することについて十分な認識が必要であることが示唆された。医療職員配置と、医療処置の状況が、介護老人福祉施設の終末期ケアを支える上で重要である可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
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