文献情報
文献番号
200619032A
報告書区分
総括
研究課題名
超音波を用いた骨粗鬆症における骨強度評価装置の開発
課題番号
H17-長寿-一般-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大西 五三男(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
研究分担者(所属機関)
- 中村 耕三(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
- 土肥 健純(東京大学大学院情報理工学系研究科)
- 佐久間一郎(東京大学工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,497,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
骨粗鬆症患者における骨強度を非侵襲且つ高精度に実測できる診断装置の開発を行うことを目的とする。超音波エコートラッキング(ET)法を用いる。本法を骨に応用し、微小な骨の変形・歪を非侵襲に高精度に検出することにより、骨強度を評価する。ET法を骨計測用に改良を行った上で基礎実験・臨床測定を行い、骨粗鬆症患者を対象に測定を行い、本法による骨強度診断の有用性を実証する。
研究方法
ET法を骨計測用に改良し測定装置を製作した。超音波の骨表面からの反射波を検出し、ETを行うことで骨の微小変形を高精度に検出可能にした。さらに本法を、プローブ長軸方向に同時に5点計測可能な装置へと改良し、変位測定と同時に変形測定を可能なものとした。動物骨を用い本法により骨変形を測定し、歪ゲージとの比較を行った。さらにET法による臨床測定法の開発を行った。脛骨用の固定冶具、プローブ保持装置、荷重機構を作成し、脛骨強度の臨床測定システムを開発した。健常ボランティアと骨粗鬆症患者を対象とし、微少な荷重に対する変形角度計測を行った。
結果と考察
開発した骨計測用ETシステムは1.5ミクロン以内の測定精度が実証された。また、複数点同時計測において、骨の変形計測量が歪ゲージの実測値と5 %以内の精度で一致した。基礎実験からET測定は骨の力学的特性・強度を検出する方法として高精度の方法であり、臨床応用できる可能性が示された。臨床測定では、健常ボランティア25名を対象とした脛骨の3点曲げによる変形角度計測により、0.075 から0.18 度の変形角が検出可能であった。骨粗鬆症患者に対する測定は、男5名、女10名の計15名(平均年齢は67.1歳)でのET変形角は0.095度から0.301度が検出され、これに脛骨長をnormalizeしたET ・Stiffnessは24.1から70.2であった。データから本測定法が臨床において脛骨の剛性を検出可能であった。
結論
エコートラッキング法を用いた超音波診断装置は骨の微小変形を十分な精度で検出可能であり骨の剛性と粘性評価が可能であった。また、臨床測定においても骨の力学特性を実測可能であり、骨粗鬆症患者における骨強度評価法として有用である。
公開日・更新日
公開日
2007-03-09
更新日
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