文献情報
文献番号
200619025A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者糖尿病に対する総合診療体制確立のための総合的研究―無作為化比較研究(J-EDIT)を中心に
課題番号
H17-長寿-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
井藤 英喜(東京都老人医療センター 院長)
研究分担者(所属機関)
- 大橋靖雄(東京大学大学院医学系研究科健康科学看護学専攻生物統計学)
- 柏木厚典(滋賀医科大学内科学第3講座)
- 山田信博(筑波大学臨床医学系代謝・内分泌内科)
- 横野浩一(神戸大学大学院医学系研究科成育医学講座老年内科学)
- 梅垣宏行(名古屋大学医学部附属病院老年科)
- 三浦久幸(国立長寿医療センター外来診療部外来総合診療科)
- 大庭建三(日本医科大学附属病院老人科)
- 荒木 厚(東京都老人医療センター内分泌科)
- 飯島勝矢(東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座)
- 中野忠澄(財団法人東京都保健医療公社多摩北部医療センター内分泌科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
23,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢者糖尿病の治療目的は、糖尿病であっても健康寿命を維持し、QOLの高い生活をおくれるようにすることである。そのためにどのように糖尿病を管理・治療すべきかはまだ明らかでない。そこで、臨床的エビデンスとして最も有用とされるランダム化比較研究を実施し、健康寿命、QOLの維持に最適な治療法を明らかにし、今後の高齢者糖尿病の診療のあり方に提言を行うことが本研究の目的である。また、分担研究者は、上記提言に資する研究を分担研究として実施する。
研究方法
中等度以上の耐糖能低下を有する65歳以上の高齢者2型糖尿病を登録する(最終的に1173症例が登録された)。登録例を無作為に2群に分け、1群では血糖、血清脂質、血圧、体重に関し成人糖尿病と同様の厳格な治療目標値を定めた治療を行う強化治療群、他群は主治医が妥当と考える治療を実施する通常治療群とする。その後諸検査を実施しつつ追跡を行い、死亡、死因、動脈硬化性血管障害、糖尿病性細小血管症、認知機能、ADL,うつ、糖尿病負担度、食物摂取量、運動量などの推移を2群間で比較検討する。また、全症例を用いた種々のサブ解析を行う。
分担研究者は、高齢者糖尿病の診療体制を考える上で問題となる事項についての研究を分担研究として実施する。
分担研究者は、高齢者糖尿病の診療体制を考える上で問題となる事項についての研究を分担研究として実施する。
結果と考察
本年度は、平均追跡期間5年に相当する平成18年9月の調査を行った。その結果、累積致死的エンドポイント68件、非致死的エンドポイント115件の計183件のイベントが発生した。しかし、糖尿病に起因すると考えられる死亡、心血管イベントの発生率に群間の差異を認めなかった。また、追跡開始後5年の成績も含め追跡中の体重、BMI、HbA1C、血清脂質、血圧の推移などについても群間の差異を認めなかった。
これらの事実は、高齢者糖尿病における強化治療の実施が極めて難しいことを示唆している。今後さらに調査票の回収をすすめ種々のサブ解析を行い研究目的にあう成果を出す予定である。また、分担研究においてはメタボリックシンドロームの原因が、食事摂取過剰ということより、身体活動量の低下が高齢者では重要と考えられるといった新しい知見が得られた。
これらの事実は、高齢者糖尿病における強化治療の実施が極めて難しいことを示唆している。今後さらに調査票の回収をすすめ種々のサブ解析を行い研究目的にあう成果を出す予定である。また、分担研究においてはメタボリックシンドロームの原因が、食事摂取過剰ということより、身体活動量の低下が高齢者では重要と考えられるといった新しい知見が得られた。
結論
高齢者2型糖尿病1173症例を対象としたランダム化比較研究を実施した。強化治療群と通常治療群の間で、イベント発生率、検査値の推移に差異を認めなかった。
今後さらに種々のサブ解析を行い研究目的にあう成果を出したいと考えている。
今後さらに種々のサブ解析を行い研究目的にあう成果を出したいと考えている。
公開日・更新日
公開日
2007-04-11
更新日
-