文献情報
文献番号
200612012A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコゲノミクスのための遺伝子ネットワーク解析法の開発
課題番号
H17-トキシコ-若手-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
奥野 恭史(京都大学 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 トキシコゲノミクス研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、化合物による生体系への影響を、薬物作用遺伝子群や毒性関連遺伝子群の遺伝子発現ネットワーク(分子ネットワーク) の変動として解析する高精度な薬物安全評価アルゴリズムの開発と実用化を目的としている。すなわち、化合物を作用させた各種細胞のDNA マイクロアレイ実験による網羅的遺伝子発現データから、バイオインフォマティクス手法によって薬物毒性特有の遺伝子発現ネットワークを構築し、薬物毒性を反映する遺伝子ネットワークのパターンとして薬物安全性を評価するトキシコゲノミクス計算法の確立を目指す。
研究方法
肝臓における薬物毒性の分子メカニズムを解明するため、ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞を用いて、肝毒性を有するインスリン抵抗性改善薬トログリタゾン(TGZ)に加えて、同じチアゾリジン系抗糖尿病薬物であるが肝毒性が少ないとされるピオグリタゾン(PGZ)で刺激させた際の経時的な網羅的遺伝子発現データの追加収集を行った。続いて、遺伝子ネットワーク構築手法としては相関係数ネットワーク法を適用し、薬物非投与時の遺伝子ネットワーク、トログリタゾン・ピオグリタゾンそれぞれの薬物投与時(3μM、100μM)の遺伝子ネットワークを構築した。さらに、遺伝子発現量の経時的変化において共通の発現パターンを示す遺伝子群をネットワーククラスターとして分類、抽出した。
結果と考察
2年次にあたる平成18年度の研究進捗も、計画通り極めて順調に進捗した。具体的には、薬物毒性を評価する上で最も重要な組織である肝臓における薬物毒性の分子メカニズムを解明するため、ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞を用いて、肝毒性を有するインスリン抵抗性改善薬トログリタゾン(TGZ)に加えて、同じチアゾリジン系抗糖尿病薬物であるが肝毒性が少ないとされるピオグリタゾン(PGZ)で刺激させた際の経時的な網羅的遺伝子発現データの追加実験収集を行い、遺伝子ネットワークの構築及び解析を行った。
結論
その結果、トログリタゾンの薬物細胞毒性に特異的な遺伝子ネットワーククラスターを見いだし、その中に含まれる遺伝子群の同定に成功した。本研究によって開発される高精度な毒性予測手法は、医薬品開発における早期毒性予測による医薬品開発期間・コストの軽減化と、国民における医薬品使用の安全性の向上を実現するものと期待できる。
公開日・更新日
公開日
2007-04-09
更新日
-