ヒト肝3次元培養系、マウス・ヒト肝細胞融合系による新規医薬品毒性評価系に関する基盤研究

文献情報

文献番号
200612003A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト肝3次元培養系、マウス・ヒト肝細胞融合系による新規医薬品毒性評価系に関する基盤研究
課題番号
H17-トキシコ-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 正吾(岩手医科大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 トキシコゲノミクス研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝薬物代謝活性と医薬品安全性・有効性との関連を試験する系は薬事行政の重要な部分であるが、現時点では供給が著しく困難なヒト肝初代培養細胞に全面的に依存している。この状況を打破するため、ヒト肝機能を模倣するヒト肝由来細胞のin vitro培養系を、近来の新技術を用いて構築する研究に着手した。
研究方法
三次元培養は、エイブル社製ラジアルフローバイオリアクター(RFB; 5 ml容)を用いて行った。細胞の支持担体はハイドロキシアパタイト、及び、ポリビニル酢酸樹脂を用いた。細胞の増殖はグルコース消費量に基づき測定し、培地中の溶存酸素、pH、培地温度が一定になるようコントロールした。三次元培養、および平面培養したHepG2細胞における遺伝子発現量をAffymetrix社Human Genome U133A GeneChipにて網羅的に定量した。HepG2細胞を、ヒストン脱アセチル化阻害剤、トリコスタチンA(TSA)およびDNAメチル化阻害剤アザC(5-aza-2’-deoxycytidine, AzaC)により処理し、HepG2細胞内薬物代謝酵素関連遺伝子の発現レベルに対する影響を調べた。ABI Prism 7900 real time PCR system (Applied Biosystems Inc.)により各種遺伝子発現量を測定した。
結果と考察
ヒト肝癌由来HepG2細胞をラジアルフローバイオリアクターで三次元培養し薬物代謝型P450であるCYP3A4の酵素誘導につき解析し、ほぼ増殖期細胞のみで、誘導がかかった。増殖期細胞は、平面培養の細胞に比較して細胞増殖が亢進している事が示唆された。また、細胞骨格や細胞間コニュニケーションに関連する遺伝子発現の亢進が新たに見出された。HepG2細胞を用い、ヒストンアセチル化やDNAのメチル化がCYP1AやCYP3A4の構成的発現に重要であることを示唆する結果を得た。
結論
平面培養と比較して、三次元培養では細胞周期を進行させる遺伝子と細胞骨格や細胞間コミュニケーションに関連する遺伝子の発現の上昇が認められた。HepG2細胞株においては、CYP3A4は非誘導時の発現、ヒストン修飾およびDNAのメチル化が大きく関与していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-05-24
更新日
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