細胞内元素アレイ解析の臨床応用に向けた基礎研究

文献情報

文献番号
200609038A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞内元素アレイ解析の臨床応用に向けた基礎研究
課題番号
H18-ナノ-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
志村 まり(国立国際医療センター研究所 難治性疾患研究部難治性疾患研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 哲也(理化学研究所播磨研究所 )
  • 山内 和人(大阪大学大学院 工学研究科)
  • 三村 秀和(大阪大学大学院 工学研究科)
  • 前島 一博(理化学研究所中央研究所 今本核研究室)
  • 大河内 仁志(国立国際医療センター研究所 細胞組織再生医学研究部)
  • 萩原 將太郎(国立国際医療センター 血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究グループは、大阪大学・山内らと理化学研究所 (SPring-8)・石川らが共同で開発した世界最小のX線ナノビームによる走査型蛍光X線顕微鏡(SXFM)用いて細胞内元素分布の超高分解能イメージングに成功した。細胞内金属元素は、細胞を正常に維持するために必須であり、元素の増減や分布を把握することは細胞の機能を理解するためにも重要である。本研究は、 SXFMによる細胞内元素変動の可視化という新しい視点から、難病疾患の病態解明と診断を目指すこと目的とする。
研究方法
近年増加傾向の血液がんの元素アレイによる早期診断の有用性を追求するため、臨床検体を用い細胞内元素分布解析(元素アレイ)をおこなう。 ②さらに、原因や治療法が未だ明らかになっていない難病疾患の動物モデルをもちいた、組織の元素アレイによる病態解明をおこなう。③より実用的な医学応用に向けて、既存のSXFMを改良し、細胞凍結装置・高速計測を伴った生体用元素ナノスコピーシステムを完成させる。以上、物理工学●生物医学の総合技術により、難病の病態解明に貢献する。
結果と考察
これまでにSXFMを用いた細胞内元素の高分能イメージングにより、癌細胞株での抗がん剤シスプラチン耐性能とZnの関連性を示した。そして実際にZnをコントロールすることにより癌細胞株での耐性を変化させ、医学分野での元素解析の有用性を明らかにした (Cancer Research)。現在、難病疾患の病態解明・早期診断に向けて、SXFMと既存の分子生物学・生化学的手法を組み合わせた多角的な解析手法を確立中である。
結論
高分解能走査型蛍光X線顕微鏡(SXFM)による細胞内元素の可視化技術による情報、およびこれまでの分子生物学、生化学的手法による多角的な解析により、難病疾患の病態解明・早期診断の可能性は大である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-05
更新日
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