文献情報
文献番号
200610035A
報告書区分
総括
研究課題名
オーダーメイド薬物療法のための革新的なベッドサイド遺伝子診断法の開発と応用
課題番号
H17-ファーマコ-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松原 洋一(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 呉 繁夫(東北大学大学院医学系研究科)
- 水柿 道直(東北薬科大学臨床薬剤学)
- 佐々木 崇光(東北薬科大学臨床薬剤学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ファーマコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
22,464,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
ゲノム研究の進展に伴い、薬物動態、薬効、副作用発現等の個人差が薬物代謝酵素や薬物標的分子等の遺伝子多型に起因することが次々と明らかになってきた。特に遺伝子上の一塩基多型 (SNP)診断は、薬物投与前に患者の薬剤反応性を予測する上で大いに期待されている。本研究の目的は、私たちが独自に開発した簡便迅速な遺伝子検査法であるCASSOH法を実用化・臨床応用することにより、一般の医療機関殿もsingle nucleotide polymorphism (SNP)が検出できるベッドサイド遺伝子診断法を確立し、オーダーメイド薬物療法を推進することにある。
研究方法
1)CASSOH試験紙の今後の安定供給と品質管理を見直す目的で、試験紙の各素材について市販の部材で安定供給が期待されるものを広く渉猟し、比較検討をおこなった。また、増幅反応時間を検討した。2)CASSOH法に用いる種々の臨床検体の比較検討をおこなった。3)各種の薬物代謝酵素遺伝子多型検査へ応用をおこなった。4)日本人検体を用いた薬理遺伝的遺伝子多型情報の収集と解析を実施した。
結果と考察
1)長期的に均一な品質を持ち安定供給が可能な、第2世代CASSOHイムノクロマト試験紙を作成した。また、遺伝子解析時間の大幅な短縮をおこない、検体採取から1時間以内に遺伝子検査結果が判定できるようにした。2)唾液検体を用いた検査法を確立することにより、非侵襲的な遺伝子診断を可能とした。3)CASSOH法を実際の薬物代謝酵素遺伝子多型検査に応用することが可能であることを実証した。4)日本人集団における有用な薬理遺伝的遺伝子多型情報を収集した。
結論
本研究によって確立されたCASSOH法を、種々の薬理遺伝学的遺伝子診断に応用することにより、一般医療機関におけるオーダーメイド薬物療法を飛躍的に推進することが期待される。すでに日本人集団での臨床的意義が確立した薬理遺伝学的遺伝子多型(例:TPMT, CYP2C19, mt1555)の検出に本法を用いキット化することによって、一般病院でもゲノム医学の成果を日常診療に還元することが可能である。CASSOH法の導入は、わが国における薬害防止、医療コストの削減、国民の健康増進に寄与するものと予想される。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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