微小流路を備えた柔軟神経電極の開発

文献情報

文献番号
200609028A
報告書区分
総括
研究課題名
微小流路を備えた柔軟神経電極の開発
課題番号
H17-ナノ-若手-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 隆文(東京大学 大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 昌治(東京大学 生産技術研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,柔軟なフィルム基板上に流路と電極とを配置した微小多点多機能神経プローブの開発とそれを用いた神経インタフェースシステムの試作を目的とする.これにより薬液投与と神経信号計測の統合など,次世代の神経プローブに求められる様々な機能が実現可能になると考えられる.
本研究は,柔軟な流路と神経電極と統合し,さらに多点化を目指す点が特色である.従来は微細ガラス管で短時間でのみ可能であった薬液注入等が,慢性的にかつ多点で実現可能になるだけでなく,流路への物質注入によるプローブ硬化手法や,流路を神経再生電極に利用することなど,次世代の神経インタフェースデバイスとしての様々な可能性を有するものである.今年度は特に流路構造の神経再生型電極への応用について検討を行うことを目的として行った.
研究方法
前年度に引き続いて下記の1~5の基盤的課題に取り組むとともに,本年度は特に課題6について重点的に取り組む.
1)電極の作成方法の確立
2)流路による薬液注入・吸引の確認
3)流路内外の電極による神経信号計測
4)プローブを刺入時のみ硬化させる方法の検討
5)再生型電極への応用
6)神経インタフェース試作システムによる評価・実証
結果と考察
1) 電極の作成方法の確立
各課題を遂行するために,各種の仕様の電極を再現性良く作成するための電極作成方法について,前年度に引き続いて,改良を行った.
2) 流路による薬液注入・吸引の確認
流路のサイズや形状を変更し,薬液の注入吸引能力について確認を行った.
3) 流路内外の電極による神経信号計測
流路内外の電極による神経信号計測を行った.
4) 刺入時のみ硬化させる方法の検討
ポリエチレングリコール(PEG)を流路に注入する方法を検討し,神経組織への刺入に必要な硬さが得られていることも確認した.
5) 神経再生型電極への応用の検討開始
流路に再生軸索を誘導することによる,再生型電極の検討を開始した.流路構造を束にして,各流路に複数の電極を配置する構造を実現した.また,各流路に神経成長因子などの薬液を注入する新しい原理の神経再生型電極の提案・設計・試作に成功した.
結論
これまでのところ,ほぼ当初計画通りの成果が得られている.
次年度には,これまでに成果を統合して,神経インタフェースシステムの中でのこうしたプローブの有効性の実証を行う予定である.

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-