完全ゲノムタイリングアレーを用いたゲノム病解析研究

文献情報

文献番号
200607058A
報告書区分
総括
研究課題名
完全ゲノムタイリングアレーを用いたゲノム病解析研究
課題番号
H18-ゲノム-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松本 直通(横浜市立大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 直樹(九州メディカルサイエンス長崎ラボラトリー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトゲノムを隙間無く完全にカバーする完全ゲノムタイリングアレーを開発し、これを用いてヒト精神神経発達に重要な影響を及ぼすヒトゲノムの微細構造異常(欠失・重複・転座)を網羅的に解析し、同定されたゲノム異常から精神神経疾患関連遺伝子を単離することを目的とする。対象疾患はゲノム構造異常によって惹起されることが想定される種々の精神遅滞症候群と機能性精神疾患である。
研究方法
I. 米国CHORIからヒトゲノムの99%を網羅的に被覆する32,891個のBAC DNAを入手しDOP-PCR増幅を行いスポッティング用DNA増幅・精製後、スポッティングを行う。
II. Affymetrix社高密度GeneChipを導入し、疾患ゲノム解析を行う。
III. ゲノム病が想定される精神遅滞関連症候群や機能性精神病症例を集積しアレー解析を行う。
結果と考察
I. 米国CHORIから入手した完全ヒトゲノムタイリングBAC DNAを鋳型に3種類のヒトゲノムシーケンスに特異性の高いDOP-PCRプライマーを用いて全クローンの一次PCR増幅を終了した。各クローン個別にゲル電気泳動で増幅効率を確認し増幅不良クローンを再度PCRするなど品質の向上に努めた。さらにDOP-PCRプライマーの5’側に存在するアダプターサイトを標的としたアミノラベル二次プライマーを用いてPCR増幅が進行中で、現時点で、二次増幅の38%が終了した。
II. Affymetrix社のGeneChip 250Kを導入し、疾患ゲノム解析を開始した。開発済みである4.2Kアレーの解析結果との比較検討から、高密度のオリゴDNAの利点(多数スポットで総合的に判断出来る等)とアレーデザイン上の欠点(BACアレーに比してS/N比が高く1スポット当たりの信頼性は低いこと、ゲノム上に配置された検出スポット部位の偏りと密度の不均一性が存在し検出不可能な領域も多数ある等)が明らかになった。
III. 複数の精神遅滞関連症候群で10例以上の集積を認め、統合失調症60例、パニック障害130例、特発性精神遅滞150例も集積済みである。4.2Kアレーを用いた解析が進行中である。
結論
完全ゲノムタイリングアレーの開発は、平成19年中期(8~10月)の完成を目指しているが概ね計画通りの進行状況である。BACアレーと対比したオリゴDNAアレーの特徴・問題点が明らかとなってきた。症例集積も順調でそれぞれのアレー解析が進行している。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
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