再生医療の実用化の安全性・効率性に関する基盤技術の整備

文献情報

文献番号
200608054A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療の実用化の安全性・効率性に関する基盤技術の整備
課題番号
H17-再生-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上田 実(名古屋大学大学院医学系研究科細胞情報医学専攻頭頸部・感覚器外科学講座顎顔面外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 各務 秀明(東京大学医科学研究所幹細胞組織医工学)
  • 紀ノ岡 正博(大阪大学大学院基礎工学研究科化学工学領域)
  • 本多 裕之(名古屋大学大学院工学研究科バイオテクノロジー講座生物プロセスグループ)
  • 木全 弘治(愛知医科大学分子医科学研究所)
  • 鈴木 力(株式会社日立メディコ技術研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
27,355,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生医療の実用化に必要とされる培養細胞の安全性・品質の確保と培養過程の効率性に関して、「新しい培養技術や評価法の確立」と「自動化・効率化」の大きく2つの研究目標を設置し、基盤技術の確立を目指す。
研究方法
無血清培養や自己血清培地での個体差の影響を検討し(1)、高度化する培養法の評価法として上皮細胞と軟骨細胞とモデルとした新しい評価技術を準静的評価法や糖合成酵素活性の研究から導き出した(2,3)。また自動化・効率化のための研究としては、自動培養装置の改良や閉鎖系培養システムの新規開発(4)と共に、情報処理理論を導入した品質管理予測モデルや効率化のためのソフトウェアの開発(5)を行い、ハード・ソフトの両面からの基板技術のプラットホームを確立した。
結果と考察
(1)今回、2種類の無血清培地を、培地のみの条件でヒト線維芽細胞の増殖と活性を比較した。細胞の増殖面ではほぼ遜色ない結果が得られるようになったものの,分化を含めた細胞の機能の維持という面では,不十分な可能性がある。(2)ヒト上皮細胞の数回の継代培養において、準静的評価を行い、累積分裂回数に対する細胞形態(円形度)の変化を観察したところ、累積回数の増加に伴い、伸展可能な細胞が減少し、その結果円形度が上昇し、細胞増殖速度の減少と細胞形態変化相関づけることができた。(3)胎生14.5日のマウス軟骨組織においてCSS-1、CSS-2、CSGlcAT、CSGalNAcT-1の4種類の酵素の発現が成長板の前肥大軟骨細胞層中心に認められた。次に、軟骨分化系細胞株のATDCにおいては分化に伴ってCSGlcATとCSGalNAcT-1の発現の顕著な亢進がみられた。これらの酵素の活性を測定することによって、軟骨として機能の評価が可能である。(4)本研究では、臨床現場の問題点として省スペース化と、並列運用を可能にする機器構造への改良を行った。(5)知識情報処理技術であるFuzzy Neural Networkを解析ソフトとして用いる品質管理システムを確立し、臨床用細胞の初期培養画像から画像解析によって人の感覚を代替するような有用な指標の組み合わせを探索し、品質管理の1つとして14日後の「生産性」の予測を行うモデルを構築した。
結論
これらの研究から得られた個々の成果から、再生医療を強力にサポートするための新しい知見や異分野の研究融合によるシステマティックな技術開発が行われたと考えられる。

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