感染リスクの排除、同一性の確保、免疫反応、がん化等の抑制及び培地等による有害作用の防止に関する研究

文献情報

文献番号
200608053A
報告書区分
総括
研究課題名
感染リスクの排除、同一性の確保、免疫反応、がん化等の抑制及び培地等による有害作用の防止に関する研究
課題番号
H17-再生-一般-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 利江(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
研究分担者(所属機関)
  • 澤田 留美(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 配島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 加藤 幸夫(広島大学 口腔生化学)
  • 辻 紘一郎(株式会社ツーセル)
  • 篠崎 尚史(東京歯科大学市川総合病院角膜センター)
  • 澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座)
  • 高橋 恒夫(東京大学医科学研究所 血液免疫学 細胞プロセッシング研究部門)
  • 加藤 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
30,285,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生医療を広く臨床応用可能な医療に発展させるには、培養担体の感染リスクの排除、間葉系幹細胞(hMSC)の安全性、同一性の確保およびガン化、(アロにおける)免疫反応等の抑制といった様々な問題をクリアーする必要がある。本研究ではこれらの検査法、評価法の確立を目的とする。
研究方法
hMSC継代培養による老化を、DNA microarray, Real time PCR、FACS解析、western blotで解析。ヒト単球様細胞を用いて、試料存在下で生成するIL-6を測定。hMSCのマーカー候補遺伝子を多数の骨髄細胞で同定する。幹細胞の安全性検査を管理する電子ソフトシステムを検討する。ウイルス除去カラム、ガス循環型クリーンベンチ、使い捨てカプセル型培養装置について検討する。Lewラットへ、同系と異系ラットの細胞を移植し、CD4,8,11bの測定、心臓組織内のIL-1β、MCP-1を測定、さい帯血由来hMSCを培養し、骨・軟骨・脂肪分化能測定。hMSCとマウスmMSC、骨髄由来樹状細胞を使用し、免疫抑制効果を調べた。国際会議に出席し、わが国の考え方を述べる。TC194出席
結果と考察
幹細胞を異なる酸素濃度下で培養し、増殖、老化及び細胞周期制御の機構を明らかにした。複数のドナーのhMSCの培養と遺伝子発現変化を追跡、安全性評価候補遺伝子を示した。ヒト細胞を、LPS吸着性材料と市販創傷被覆剤に直接適用した結果、エンドトキシン、ウサギ発熱試験と相関した。多数のMSCクローンでマーカー遺伝子の発現レベルを測定し、均質性を証明できた。HIV除去法を開発した。DNAの酸化的損傷回避のための低酸素環境システムを開発した。臍帯血から効率的に分離したhMSCは骨・軟骨分化能を示した。心筋梗塞急性期におけるアロ細胞移植治療は、同系細胞移植群と同様に治癒効果を認めた。アロ抗原およびMitogen 刺激によるT細胞増殖は、マウスmMSCのみでなく異種のhMSC細胞でも抑制されたが、両者の間には、反応性において差があった。
結論
hMSC癌化の危険性評価の指標の候補遺伝子を示す。invitro発熱性試験開発。hMSCのマーカーは品質・同一性検査に有用。電子システムソフトによるデータ管理開発。感染因子の除去法・低酸素培養システム構築。心筋梗塞急性期における骨髄由来hMSCにおいて同種他家細胞の有用性を示唆。細胞利用した治療でのMSCの免疫制御システムを示す。

公開日・更新日

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