体外衝撃波を用いた急性心筋梗塞に対する非侵襲性治療法の開発

文献情報

文献番号
200608038A
報告書区分
総括
研究課題名
体外衝撃波を用いた急性心筋梗塞に対する非侵襲性治療法の開発
課題番号
H17-再生-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学大学院医学系研究科循環器病態学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
19,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、人口の高齢化や生活の欧米化などにより、虚血性心臓病・脳卒中・閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患が増加している。これらの動脈硬化性疾患は、国民の生命予後を悪化させ、日常生活のQOLを著しく低下させ、活力のある社会の実現に大きな障害となっている。我々は、低出力の衝撃波を体外から心臓に照射する非侵襲的な血管新生療法を開発し、ブタおよび狭心症患者において高度の心筋虚血を改善することを報告している。本研究は、低出力の体外衝撃波を用いて、急性心筋梗塞後の心室リモデリング・心不全に対する非侵襲性の新たな治療法を開発するものである。
研究方法
1)基礎研究:ブタ急性心筋梗塞モデルにおいて、心筋梗塞作成3日後または28日後に体外衝撃波治療を開始し、その4週間後に心機能等を評価した。
2)臨床研究:倫理委員会の承認を得て、平成19年2月から、急性心筋梗塞症例を対象にした体外衝撃波治療の臨床試験を開始した。衝撃波治療は、カテーテルインターベンションが成功した急性心筋梗塞症例に対して、発症3日目から開始した。
結果と考察
1)基礎研究:ブタ急性心筋梗塞モデルにおいて、急性心筋梗塞発症後3日目から体外衝撃波治療を行うと、慢性期の左室リモデリングや心機能の低下が有意に抑制されることが初めて示された。発症28日目から治療を開始した場合には治療効果が認められなかったことから、早期の治療の有効性が示唆された。
2)臨床研究:平成18年度中は、1例の急性心筋梗塞症例に対して体外衝撃波治療を合併症なく安全に施行した。今後症例数を重ねていく。
結論
体外衝撃波治療は急性心筋梗塞後の心室リモデリングに対する有効かつ安全性の高い治療法となる可能性がある。詳細なメカニズムの解明のため、さらに基礎的検討を継続するとともに、臨床試験を進めていく。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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