外科手術のアウトカム要因の解析と評価方法に関する研究

文献情報

文献番号
200601041A
報告書区分
総括
研究課題名
外科手術のアウトカム要因の解析と評価方法に関する研究
課題番号
H18-政策-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 松山 裕(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,施設症例数(Hospital Volume)および外科医の経験数(Surgeon Volume)と外科手術アウトカムの関連を明らかにし,診療報酬制度への反映方法を検討すること,および外科手術に関する診療報酬評価の研究や臨床研究に不可欠な手術術式の標準的分類コード体系を確立することを目的とする。
研究方法
平成18年度においては,外科系の6学会から各登録医療機関に協力を依頼し,以下の14の術式を対象とした施設調査および症例調査を開始した。(1)婦人科:子宮頸癌に対する広汎子宮全摘術、(2)泌尿器科:腎癌に対する腎全摘術、(3)整形外科:人工股関節置換術、人工膝関節置換術(4)脳神経外科:無症候性未破裂嚢状脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術および血管内コイリング術、(5)外科:食道癌に対する食道(亜)全摘術、膵頭十二指腸切除術、直腸癌に対する直腸切除術/切断術、結腸癌に対する腹腔鏡下結腸切除術、乳腺悪性腫瘍手術、(6)胸部外科:冠動脈バイパス術、弁膜症手術、肺悪性腫瘍手術、胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術。
結果と考察
各施設の年間件数および医師の経験数,患者の背景情報(性別・年齢・診断名・術前併存症),手術内容(術式,手術時間,出血量など),手術アウトカム(早期合併症,在院日数,転帰)などについて現在調査・集計継続中である。外科手術のVolume-Outcome Relationshipについては,施設症例数(Hospital Volume)および外科医の経験数(Surgeon Volume)とアウトカムに正の関係があるとの報告が海外において複数ある。これまでの報告は術後死亡をエンドポイントとするものが多かった。しかしながら,例えば冠動脈バイパス術の術後死亡率は欧米人に比較して日本人の方が相対的に低いなど,人種差による影響と推測される要因もあり,海外の報告をそのまま日本に適用することは必ずしも妥当でないと考えられる。また,本邦では施設数が多いために症例が分散しており,1施設あたり症例数が欧米に比して極端に少ないことがしばしば指摘されている。
結論
本研究は現在進行中であり,研究初年度である平成18年度は中間集計のみであるが,1施設当たりの症例数が分散している傾向は中間集計結果からも一定程度明らかとなった。本研究においては,術後死亡が問題となるようなMajor Surgeryだけでなく,術後死亡はほとんど問題とならないが手術手技の優劣によって合併症の発生頻度が変わりうると一般に推測されている術式も含まれる。平成19年度の本集計および解析によってこれらの点も明らかにできると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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