生活時間データを用いた子育て支援政策構築の研究

文献情報

文献番号
200601019A
報告書区分
総括
研究課題名
生活時間データを用いた子育て支援政策構築の研究
課題番号
H17-政策-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 眞砂(島根県立大学総合政策学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,149,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本報告は子育て期の夫婦、祖父母などの世帯員が1日の中で子育てにどのように生活時間を配分しているのかを解明しつつ理解し、女性の子育て負担の軽減に資する政策を提言することにある。その際、われわれは総務省の社会生活基本調査のミクロデータの再集計値(データを利用しうる直近の2001年調査データ)を用いて解明を図る。われわれの解明、提言はあくまでも社会生活基本調査に基づくものであるから、出来ることはデータが語りうる範囲に限定される。
研究方法
 外部サービス(保育園、幼稚園)の利用の有無、妻の有業、無業の有無により4つの世帯類型を確定した。それは自力子育て型専業主婦、外部サービス利用型専業主婦、自力子育て型兼業主婦、外部サービス利用型兼業主婦のそれぞれの世帯である。核家族、拡大家族(両親)、拡大家族(片親)ごとにこれら類型があるから12の家族類型を設定した。世帯員行動相関分析、平均時間分析、時刻別行為者率分析によりデーター処理し、世帯類型ごとの時間特性が把握出来るように、データを再編成した。

結果と考察
1.全ての家族類型を通して、子育て外部サービスの利用は妻、夫の子育て負担軽減に大きく寄与する。2.全ての家族類型を通して、夫婦全体おける夫の役割分担比率は平均時間量で見ると、1割前後のあるいはそれを下回るものであり、妻のそれは9割前後である。3.世帯として子育て平均時間数の合計が最も多いのは祖母と同居の自力子育て型兼業主婦の共働き世帯で407.9分であるのにたいし、最も少ないのは核家族外部サービス利用型の共働き世帯の79.1分であり、その間5時間以上の差がある。4.妻は就労しようとする時、子育て時間を削減するが、反面、夫は自らの仕事を減少させ、子育て総平均時間を増大させる。4.労働時間が長くなるにつれ、兼業主婦の仕事と育児、家事、買い物行動との時間帯の分離が進み、アンペイドワークは出勤前、出勤後の早朝、夕刻、夜間の時間帯に集中する傾向が強まる。外部サービス、祖母の支援導入が有効である。夫の長時間労働、子育て参加の低調は変わらぬ問題点である。
結論
1.保育園、幼稚園等の子育て外部サービスの整備、充実を図ることが子育て期の女性の子育て、就労支援策として必要である。
2.共働き女性にたいしては、ランチタイムアウト制度の導入を政策提言した。
 以上、いずれも生活時間統計の精査に基づく政策提言である。今後、政策提言の論拠として、また正当性の基盤として、生活時間統計の活用が進められるべきである。
 

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200601019B
報告書区分
総合
研究課題名
生活時間データを用いた子育て支援政策構築の研究
課題番号
H17-政策-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 眞砂(島根県立大学総合政策学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本報告は子育て期の夫婦、祖父母などの世帯員が1日の中で子育てにどのように生活時間を配分しているのかを解明しつつ理解し、女性の子育て負担の軽減に資する政策を提言することにある。その際、われわれは総務省の社会生活基本調査のミクロデータの再集計値(データを利用しうる直近の2001年調査データ)を用いて解明を図る。また、各種世帯類型ごとの世帯総体としての平均時間量に世帯数を乗じて社会全体としての子育て時間量を計上し、子育て支援に必要なマンパワー量を推定する。
研究方法
外部サービス(保育園、幼稚園)の利用の有無、妻の有業、無業の有無により4つの世帯類型を確定した。それは自力子育て型専業主婦、外部サービス利用型専業主婦、自力子育て型兼業主婦、外部サービス利用型兼業主婦のそれぞれの世帯である。核家族、拡大家族(両親)、拡大家族(片親)ごとにこれら類型があるから12の家族類型を設定した。世帯員行動相関分析、平均時間分析、時刻別行為者率分析によりデーター処理し、世帯類型ごとの時間特性が把握出来るように、データを再編成した。なお初年度にタイムファンドデータの動態的分析手法を整備を完了した。
結果と考察
1.全ての家族類型を通して、子育て外部サービスの利用は妻、夫の子育て負担軽減に大きく寄与する。2.全ての家族類型を通して、夫婦全体おける夫の役割分担比率は平均時間量で見ると、1割前後もしくは以下であり、妻のそれは9割前後である。その他、多くの知見を得た。また、タイムファンドデータ計上のための基礎データとして、各世帯ごと子育て総時間数数も計上した。3.世帯として子育て平均時間数の合計が最も多いのは祖母と同居の自力子育て型兼業主婦の共働き世帯で407.9分であるのにたいし、最も少ないのは核家族外部サービス利用型の共働き世帯の79.1分であり、その間5時間以上の差がある。ただ、経年データを用いたタイムファンドデータの動態的分析は膨大な作業量が予想されたので、今回は断念した。含意として、外部サービス、祖母の支援導入が有効である。夫の長時間労働、子育て参加の低調は変わらぬ問題点である。
結論
1.保育園、幼稚園等の子育て外部サービスの整備、充実を図ることが子育て期の女性の子育て、就労支援策として必要である。
2.共働き女性にたいしては、ランチタイムアウト制度の導入を政策提言した。
 以上、いずれも生活時間統計の精査に基づく政策提言である。今後、政策提言の論拠として、また正当性の基盤として、生活時間統計の活用が進められるべきである

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200601019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「子育て」に夫や妻、それに親と同居の場合、祖父母がどれだけの時間を投入しているかは今まで全国ベースでは明らかにされたことはなかった。本研究は総務省の生活時間調査である社会生活基本調査の最新の2001年ミクロデータの再集計値を用い、家庭での子育ての実態に関し最善の観察結果を提示し、知見を整理し、それをもとに子育て支援政策の提言を行った。観察の簡単かつ厳密のために、5歳以下の子供1人を持つ家庭に絞って考察を進めた。
臨床的観点からの成果
5歳以下の子供を持つ若い夫婦の子育て、しごとに関するもっとも詳細な時間の観察データを提示している。
ガイドライン等の開発
本研究で提示された集計値は、これから結婚をし、出産、子育てをしようとする若い女性が将来設計する場合に、大いに利用可能である。専業主婦あるいは兼業主婦になった場合、また保育園、幼稚園を利用した場合、しなかった場合、親と同居した場合、しなかった場合、それぞれの状況において、子育て、しごとの時間がどのように変化するかを、前もって知ることが出来る。男性に対しても同様のデータを整備している。若い女性、男性の将来の生活設計の指針的データが本研究をもって整備された。
その他行政的観点からの成果
子育て期の若いカップルの生活時間の詳細な観察を踏まえ、1.夫の労働時間短縮と子育て外部サービスの整備、充実、2.若い男女の子育て、就業の合理的選択の為の生活時間環境情報提供サービス体制の構築、3.子育て期の勤労女性に昼食時間帯の買い物時間確保を可能とするフレックスランチタイムアウト制度の導入を提言した。これらは夫と妻の子育て支援、ワークライフバランス確保を目指している。
その他のインパクト
一般の関心を呼びそうな多くのデータが得られた。出版社から本研究に関し、問い合わせが入り始めている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
日本老年社会科学会2006年大会(タイトル「高齢化社会における時間ピラミッド」)にて人口数に行動の平均時間数を乗じた新たな統計量であるタイムファンドの概念を提示した。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-