健康効用値を用いた政策評価に関する研究

文献情報

文献番号
200601004A
報告書区分
総括
研究課題名
健康効用値を用いた政策評価に関する研究
課題番号
H16-政策-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上村 隆元(杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 森口 尚史(東京大学先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【研究目的】(全年度共通)
1、 健康寿命の定量的手法(健康効用値)の妥当性の検証。
2、 地域にてコホート研究を行い、一部介入(健康つくり・健康教育)を行う。
3、 その結果を、健康効用値を用いて健康寿命の延伸を評価する。
4、 疾患群(慢性疾患通院患者、脳血管障害急性期の入所者、C型肝炎患者)に対し治療の時系列   で経時的観察を行い、効果を健康効用値により判定し、テクノロジーアセスメントを行う。
研究方法
【研究方法】
概略;地域集団と臨床集団の2群を設定し、前者ではコホート研究を、後者では時間断面的に、健康効用値調査を行う。(全年度共通)
1、 G県T市K町在住の住民人口全員。←地域
2、 S県Y市在住の慢性疾患による通院患者集団(入所者を除く)←臨床
3、 N県内における急性期脳血管障害患者でリハビリテーションを受けている集団。←臨床
上記の3集団を対象に個人属性の収集とHUI(Health Utilities Index)とEQ5Dを用いた健康効用値調査を進める。
結果と考察
【結果と考察】
Result1;行政・研究者・住民一体の研究体制強化により高齢者のQOL健診を100%終了した。
Result2;地域特性として高齢者の運動機能は良好だが感覚器(聴力・視力)障害が強いことが明らかになった。
Result3;更にその障害が日常生活機能に影響を与えていることが老研式スコアの結果判明した。Result4;これはHUIのQOL寄与領域のうちVision, Hearing,に強くインパクトを与えていた。
Result5;脳血管障害患者の急性期リハビリテーションの費用効果および効用増分分析を行うと非常に効果的な医療であることが判明。C型肝炎患者に対する治療法の選択に健康効用値と遺伝子形の相違を用いオーダーメード方式でモデルを構築し妥当性を得た。
結論
【結論】(最終年度までに明らかになった点)
1、 健康効用値を用いて医療政策の違いによる健康度の差異を比較することは可能である。
2、 これは長期的な観察によりQALYS(Quality Adjusted Life Yeras)を算出・評価が可能。
3、 QALYSは生存期間とQOLとを併せた一元的指標であるから、いわゆるLife course epidemiology   の視点から、乳幼児期・学童期に始まる健康教育などの効果を生涯を通じて評価する研究基盤   が重要と考えられた。
4、 本研究は、長期的に健康寿命の延伸を観察する研究基盤として理想的な枠組みを作り上げており日本のフラミンガム研究を目指し経年的観察を継続する。

公開日・更新日

公開日
2007-05-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200601004B
報告書区分
総合
研究課題名
健康効用値を用いた政策評価に関する研究
課題番号
H16-政策-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上村 隆元(杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 森口 尚史(東京大学先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【全年度共通】
1、 健康寿命の定量的手法(健康効用値)の検証。
2、 地域コホート研究において健康寿命の延伸を評価する。
3、 疾患群(慢性疾患通院患者、脳血管障害急性期の入所者、C型肝炎患者)に対し経時的観察を行い、健康効用値によるテクノロジーアセスメントを行う。
研究方法
【全年度共通・一部変更】
1、 G県T市K町在住の住民人口約4500名
2、 S県Y市在住の慢性疾患による通院患者集団(入所者を除く)
3、 N県内複数施設における急性期脳血管障害患者でリハビリテーションを受けている集団。
地域集団と臨床集団を観察対象集団として個人属性の収集とHUI(Health Utilities Index)とEQ5Dを用いた健康効用値調査を進めた。地域コホート集団に対しては緩やかな介入を行った。10年視軸での健康効用値とQALY増分を評価する基盤つくりを行った。臨床集団においては地域医師会と協力体制を敷きQOLに最も影響を与える要素を抽出した。急性期脳血管障害患者ではリハビリテーションのもたらす中長期的予後をQALYSをアウトカムとしたテクノロジーアセスメントの手法で検討した。
結果と考察
【総合研究結果と考察】
地域コホート集団に対しては3年間の研究期間を通じ、一層強固な協力体制を得て65歳以上高齢者のQOLに関する健康調査を100%終了した。その結果、運動器の障害は少なく、感覚器障害が高い結果、日常生活に影響を与えている側面が明らかとなりHUIのQOL寄与領域のうちVision, Hearing, に強くインパクトを与えていた。次年度以降も引き続き、この問題点に照準をあて地域健康つくりを進めていく予定である。臨床集団においては脳血管障害患者の急性期リハビリテーションを費用効果・費用効用・効用増分分析による評価を行うと非常に効果的な医療であることが判明した。C型肝炎患者に対する治療法の選択に健康効用値と遺伝子形の相違を用いオーダーメード方式でモデルを構築し妥当性を得た。
結論
結論:
1、 健康寿命を具体的に数値化するのにQALYS(質で調整した生命年数)は妥当である。
2、 これは医療政策の違いよる健康度の差異を検出するに、長期的な観察を必要とする。
3、 健康効用値やQALYSのような大局的な指標を用いることの意義は、いわゆるLife course epidemiologyの視点から、乳幼児期・学童期に始まる健康教育などの効果を生涯を通じて評価する研究インフラが重要である。
4、 本研究は今年度で終了するが以降の経年的観察が更に重要な意味を持つ。

公開日・更新日

公開日
2007-05-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200601004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健康寿命は健康増進法施行通知によれば「健康に生活できる期間」のことをいう。健康効用理論は「質で調整した生命年数」を算出するものであり、生活期間を健康効用値で調整する。これは1970年代マクマスター大学で医療経済学的手法により開発されたものであるが今回の研究において地域コホート集団に応用した結果妥当性を得た。これは経年的に健康寿命延伸に寄与すべく医療政策効果を評価するものとして活路を見る。
臨床的観点からの成果
地域在住の健常集団に対し、臨床的に問題のある集団ではすでに機能障害(Inpairment)の質や程度がわかっていることが多い。HUI開発者らはこれをKnown Peopleと表現するがHUIはこの臨床的問題をすでに持つ患者の特性に合致した測定特性を示した。また、急性期脳血管障害患者のリハビリテーション効果を鋭敏に検出した。
ガイドライン等の開発
特にない。
その他行政的観点からの成果
平成17年度、平成18年度にT市K町保健福祉課主催の研究報告会で研究成果が発表された。また、研究地区は平成18年に市町村合併を行いG県T市と合併したが、この合併協議書に地域コホート研究の継続が明記され、住民・行政と学府が一体となった研究体制の強化が図られた。このことはさらにT市の擁する複数地域において研究対象が広げられ、より科学的に妥当性の高い研究が成される可能性を示唆する。


その他のインパクト
名古屋市千種区社会福祉協議会および民生委員連盟より「地域における健康つくりとその評価」との仮題で講演を依頼され、実行予定。

発表件数

原著論文(和文)
1件
能登真一、上村隆元。回復期リハビリテーション病棟の費用効果分析。医療経済研究 2006;vol.18 No.1:57-66.
原著論文(英文等)
3件
The MEGA study -. Lancet. 2006 Dec 9;368(9552):2052;
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
17件
上村隆元、森口尚史、他 日本語版HUI3を用いた健康効用値の評価(4) 日衛誌 2004;59:P314.他
学会発表(国際学会等)
6件
Moriguchi H, Uemura T  Hepatology 2006;44 (Suppl): 611A,
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-