相談内容の分析等を踏まえた相談支援センターのあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200622053A
報告書区分
総括
研究課題名
相談内容の分析等を踏まえた相談支援センターのあり方に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
雨宮 隆太(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 石川睦弓(静岡県立静岡がんセンター研究所 患者・家族支援研究部)
  • 谷水正人(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 外来部)
  • 若尾文彦(国立がんセンター 中央病院 放射線診断部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 「がん対策基本法」に基づき、地域がん診療連携拠点病院に新設された相談支援センターが有効に機能するために必要なシステム等について研究した。現時点での各センターの体制とその状況を調査するとともに、先進的にがん相談を実施している施設から、望ましい体制、相談に関する経験、知識、相談-回答事例を収集・整理し、医療連携も含めたがん相談支援センターのなすべきこと、効果的なセンターのあり方を明示することを本研究の目的とした。
研究方法
 本邦の地域がん診療連携拠点病院における相談支援センターの設置状況の組織体制、人員配置状況、相談方法、実績情報についての調査を実施した。先進的な相談支援センターとしての業務を実施している施設から、相談に関する経験、知識、事例を収集して検討した。その結果から地域の状況に合わせたセンター業務のモデルプランを策定し、相談の際に利用できる相談-回答データベース、相談支援ツール(窓口マニュアルなど)を構築し、適宜改善している。
 一部の施設では病診連携や在宅支援のために、患者の退院後にも “標準化“医療を可能とする退院調整連携クリニカルパスを作成し始めた。これらのパスは“院内外の人的、物的資源の調整や情報共有・提供のあり方、介入の手順・方法を“標準化“するものであり、実証研究を行っている。
結果と考察
 相談支援センターで受けた相談対応は電話相談と対面相談が主であり、FAXとE-maleによる相談例は非常に僅かであった。対面相談を通し、問題の整理と心のケアを含んだ情報提供、相談機能の質の維持のために情報の共有化と情報収集・整理が必要であった。相談内容を分析し、静岡県立がんセンターで作成した静岡方式分類表を基にした“相談窓口マニュアル”を作成することにより、職種の違う相談対応者であっても均等な回答が可能であった。これらの素案を活用して各県毎に展開させ、各地の相談支援センターにおける質の高い相談対応サービスの実現を目指している。  
 入院患者とその家族には、入院時より在宅移行や在宅支援を主眼とした地域医療連携クリニカルパスを使用する事により、患者満足度の維持と「安心感」の提供、退院
日数の短縮、看護師の意識改善が期待される。
結論
 相談支援センターは病院内外のがん患者やその家族が抱える諸問題に対して支援を行うことを目標とする。先進的な相談支援センターの体制やシステムを早急に提示し、医療者には“がん診療連携拠点病院の相談支援センター”のなすべきことを、患者・家族にはどの様なことでも相談できる窓口があることを国立がんセンターのがん対策情報センターを中心に広報する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-05-01
更新日
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