小児の臨床研究推進に必要な人材育成と環境整備のための教育プログラム作成

文献情報

文献番号
200618035A
報告書区分
総括
研究課題名
小児の臨床研究推進に必要な人材育成と環境整備のための教育プログラム作成
課題番号
H18-臨研(教育)-若手-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中川 雅生(滋賀医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 義博(滋賀医科大学 医学部)
  • 大野 雅樹(京都女子大学 発達教育学部)
  • 土田 尚(国立成育医療センター 総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 臨床研究基盤整備推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児の臨床研究に精通した医師は極めて少なく、小児の臨床研究を実施する施設や小児に精通した治験コーディネーターの配置など治験環境も十分でないため、小児用医薬品開発に遅れを生じる一因となっている。そこで、臨床研究に精通した医師や治験コーディネーターの育成、さらに小児を対象とした臨床研究に必要な器材、例えばインフォームドアセント用のアイテム開発ができる人材育成に向けた教育プログラム作成を目的として研究を企画した。
研究方法
滋賀医科大学医学部の学生に臨床研究に関する基本的な事項とEBMの大切さ、小児用医薬品開発と承認の遅れの現状について講義し、小児用医薬品開発推進に何が必要か考察させた。研修医、レジデント及び小児科医には、小児の臨床研究が進まないことが医薬品開発の遅れと適応外使用の多い原因であることの理解を得るためセミナーを開催した。小児の臨床研究推進を阻害する因子を明らかにする試みのひとつとして、治験に対する小児科医の意識をアンケート調査した。また、経験豊富な治験コーディネーター2名に滋賀医科大学の小児科学の講義を受講してもらい、小児の発達生理や疾患に関する知識を深めることが小児の臨床研究支援においてどのように有用かを検討した。
結果と考察
小児の医薬品開発促進にむけ、医学生から「学生や医師に積極的に適応外使用の問題を教えるべき」、「医師自らが治験を含む臨床研究に取り組むべき」という声が多く聞かれたことは大きな収穫であった。小児科医へのアンケート回収率は62.5%であった。小児の治験に取り組んでいる医師は少ないこと、今後取り組みたいと考えている医師はそれより多いものの、それでも半数には満たないこと、その背景には小児科医が負担する診療業務の多さ等治験実施体制の不備が示された。今後解決すべき課題として、小児本人および保護者からの同意獲得の困難さがあげられていた。小児科学の講義を受講した治験コーディネーターから、小児の疾患だけでなく保護者の心理について理解を深める意味で効果があり、意義深いという感想が聞かれた。
結論
本邦の医学教育における臨床研究の考え方と今年度視察した米国とでは大きな差がある。薬学部や看護学部にも臨床研究を理解し、立案できるようなプログラムがあることも本邦の制度とは大きく異なっている。今後の研究を進めるにあたり、今年度得られた結果を基礎資料としながら米国の教育プログラムに少しでも近いカリキュラムを作成していくことが必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
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