創薬への応用を目標としたB細胞の分化・増殖・細胞死の制御機構解明に関する研究

文献情報

文献番号
200614024A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬への応用を目標としたB細胞の分化・増殖・細胞死の制御機構解明に関する研究
課題番号
H16-創薬-028
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上出 利光(北海道大学)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 忠昭(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 清河 信敬(国立成育医療センター研究所 発生分化研究部)
  • 洲鎌 和茂(株式会社オステオファーマ)
  • 前田 龍(株式会社ジーンテクノサイエンス)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
B細胞の機能と生存におけるBAFF、DAP3およびラフトの機能解析を行い、B細胞の恒常性維持の破綻に起因する疾患の新たな治療法の開発に応用することを目的とした。
研究方法
新たなシグナル伝達分子のクローニングを行い、これらの分子に対する特異的な抗体を用いて解析を行った。ラフト画分をマウスに免疫し、常法により抗体産生ハイブリドーマの作成と抗体精製を行った。
結果と考察
BAFF-Rと会合する分子として発見したDMWDは脱ユビキチン化酵素USP12と会合し、NIKプロテアソームによる分解阻害とNF-κB2活性化に働くことが明らかとなった。またDMWDはチロシンキナーゼであるPyk2とも会合し、DMWDはPyk2の活性化に働き、またPyk2はPKCδのリン酸化能を有することが示された。これらの機能はDMWDの発現抑制により阻害された。
樹立した抗B前駆細胞ラフト単クローン抗体、2E6抗体は特定のB細胞株のみを認識する特殊な抗体であることが明らかとなった。
DAP3に会合する分子としてLIP1、LKB1および新規分子DAP3BP1(DAP3 binding protein 1)を見出し、それぞれDAP3により誘導されるアポトーシスシグナルに重要な機能を有することが示された。
結論
DMWDはUSP12の安定化とNIKの分解抑制機能を有していた。またPyk2の活性化とPKCδのリン酸化を通じて、BAFF刺激によるNF-kB2の活性化、およびPKCδの機能制御に働くことが示された。
特定のB細胞株とのみ反応する抗B前駆細胞ラフト単クローン抗体を作出した。
DAP3会合分子としてLIP1、LKB1および新規分子DAP3BP1(DAP3 binding protein 1)を同定し機能を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200614024B
報告書区分
総合
研究課題名
創薬への応用を目標としたB細胞の分化・増殖・細胞死の制御機構解明に関する研究
課題番号
H16-創薬-028
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上出 利光(北海道大学)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 忠昭(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 清河 信敬(国立成育医療センター研究所 発生・分化研究部)
  • 洲鎌 和茂(株式会社オステオファーマ)
  • 前田 龍(株式会社ジーンテクノサイエンス)
  • 設楽 研也(協和発酵工業株式会社 東京研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
B細胞の生存あるいは機能の異常に起因する疾患の新たな治療法の開発に応用することを目的とし、B細胞の機能制御分子の同定とその分子生物学的解析を行った。
ラフト画分をマウスに免疫し、単クローン抗体産生細胞を樹立し抗体を作出した。
研究方法
様々なシグナル伝達分子に対する特異的な抗体を用いて分子生物学的機能解析を行った。
結果と考察
BAFF-Rと会合する分子として発見したDMWDは脱ユビキチン化酵素USP12と会合し、NIKプロテアソームによる分解阻害とNF-B2活性化に働くことが解明された。またDMWDはチロシンキナーゼであるPyk2とも会合し、その活性化に働き、Pyk2はPKCδのリン酸化に働くことが示された。GeneChip解析を行い、CD24の架橋によるラフト刺激によって誘導される遺伝子の候補を複数同定した。種々のバイオフラボノイドがB前駆細胞株に濃度依存的にアポトーシスを誘導することが示された。
樹立された抗B前駆細胞ラフト単クローン抗体2E6は特定のB細胞株のみ認識する特殊な抗体であることが明らかとなった。
DAP3に会合する分子としてLIP1、LKB1および新規分子DAP3B-P1(DAP3 binding protein 1)を見出し、これらの分子がDAP3によるアポトーシス誘導に重要であることが示された。
結論
1.BAFF-Rに会合するDMWDはUSP12の安定化とNIKの分解抑制機能を有していた。またBAFF刺激により
DMWDを介してPyk2の活性化が誘導され、NF-B2の活性化とPKCδの機能制御に働くことが明らかに
なった。
2. 様々なバイオフラボノイドがB前駆細胞株にアポトーシスを誘導することを明らかにした。
3. 特定のB細胞株とのみ反応する抗B前駆細胞ラフト単クローン抗体を作出した。
4. DAP3会合分子としてLIP1、LKB1および新規分子DAP3BP1(DAP3 binding protein 1)を同定し、
これらの分子がアポトーシスの制御に重要な機能を有することを解明した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614024C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1. B細胞の分化と生存に重要なBAFFの受容体であるBAFF-Rに会合する分子としてDMWDを同定した。DMWDに脱ユビキチン化酵素USP12とPyk2が会合しこれらの分子がBAFFのシグナル伝達に重要である事を明らかにした。2. 特定のB細胞株とのみ反応する抗B前駆細胞ラフト単クローン抗体を作出した。3. DAP3会合分子としてLIP1、LKB1及び新規分子DAP3BP1(DAP3 binding protein1)を同定しこれらの分子がアポトーシスの制御に重要な機能を有する事を解明した。
臨床的観点からの成果
1. B細胞におけるBAFFのシグナル伝達に重要な分子を同定したことにより、今後これら分子の発現・機能の異常と疾患との関連について臨床的解析が進むことが期待される。2. 抗酸化作用や抗がん作用を有する様々なバイオフラボノイドがB前駆細胞株にアポトーシスを誘導することを明らかにし、B細胞性の白血病や自己免疫疾患の治療に応用できる可能性が示された。3. 作出した抗B前駆細胞ラフト単クローン抗体について、今後反応性を示すB細胞群と疾患との関連が明らかになれば、臨床診断への応用が期待できる。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
51件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
97件
学会発表(国際学会等)
10件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-