医薬品等の有効性・安全性評価に資する遺伝子発現解析の国際的標準化に関わる研究

文献情報

文献番号
200606043A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の有効性・安全性評価に資する遺伝子発現解析の国際的標準化に関わる研究
課題番号
H18-特別-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 油谷 浩幸(東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス部門)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部)
  • 矢本 敬(三共株式会社安全性研究所)
  • 住田 佳代(住友化学株式会社生物環境科学研究所応用生物グループ)
  • 宇山 佳明((独)医薬品医療機器総合機構審査第三部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
米国を中心に急速に進みつつある「mRNA測定に関わる標準化」に呼応して、国際的な動向を早急に調査するとともに国内での情報交換を行うことにより、遺伝子発現解析に関する標準化に向けた提言を行うとともに、国際的標準化活動への技術的関与を検討する。
研究方法
国内の研究者とのAd hoc会合により、遺伝子発現解析の標準化に関する国内の意見交換を行う。また、RNAの外部標準試薬を用いる場合に、標準試薬として求められる品質、品質管理、供給体制に関する情報収集や、知識の集約を行う。さらに、国際的な動向を調査するとともに、必要に応じて米国等と技術的な情報交換等を進め、国際的な遺伝子発現解析の標準化に向けた活動への技術的関与を検討する。
結果と考察
産学官協力のもと標準化技術導入の可能性が示された。国外の動向に遅れを取らぬためにも、現時点から標準化技術導入に向けた具体的な検討を開始することが望ましい。先ずは関係する行政機関(厚生労働省や医薬品医療機器総合機構)に於いて検討会等を設け、議論の受け皿を用意した上で、ガイドラインを策定すべきであることが提案された。また、ガイドライン策定に際して、
(1) 安全性確保と産業育成の観点から、現実的な運用規定策定を目指すこと
(2) 申請側はもちろん、審査側の遺伝子発現解析技能も必要であり、担当者の技能向上の為の対策を立てること
(3) 審査に必要な遺伝子候補リストの提示など、遺伝子発現情報の隠蔽や操作を防ぐための対策を取ること
(4) 国外の動向に留意し、可能な限り協力体制を確立すること
(5) 実際に試験サンプルを用いて複数の協力機関・企業で測定を行い、生成されたデータを評価して、ガイドラインに則った審査が可能かどうか確認すること
等に留意する必要性が提起された。
結論
遺伝子発現解析の標準化研究は緒に着いたばかりであり、ガイドライン策定に際しては更なる国内の情報の集約と問題点の抽出が必要である。今後も継続的に国際的な動向を調査するとともに、米国等と情報交換を進め、遺伝子発現解析の国際的標準化プロセスへの関与を強めていくことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200606043C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究レベルで用いられてきた高密度マイクロアレイや定量的PCR等による遺伝子発現情報を、医薬品等の有効性・安全性評価に適用する際に問題となる、それらの遺伝子発現解析の標準化に関する問題点を整理した。また、遺伝子発現解析技術の利用状況を幅広く調査することにより、各領域に於ける標準化の必要性及び実施の可能性を評価するとともに、標準化に必要な基本技術の選定と、運用上の問題点の洗い出しを行った。
臨床的観点からの成果
直接の臨床的データは得ていないが、医薬品の有効性・安全性の確保に係る遺伝子発現解析の国際的な適合性に資することにより、将来的な貢献が期待される。
ガイドライン等の開発
遺伝子発現解析の標準化研究は緒に着いたばかりであり、ガイドライン策定に際しては更なる国内の情報の集約と問題点の抽出が必要である。遺伝子発現解析の標準化に向けた活動に技術的に関与し、ファーマコゲノミクス関連のガイダンス案作成に資することを目的として、また、関係する行政機関(厚生労働省や医薬品医療機器総合機構)に於いて検討会等を設け、議論の受け皿を用意した上で、ガイドラインを策定すべきであることを、成果報書に提言した。
その他行政的観点からの成果
臨床医療領域、創薬領域、化学工業品製造領域に於いて標準化技術の導入について検討を行ったところ、申請側には現時点では必要性がなく、また申請に際して自発的にゲノミクスデータを添付する可能性が低いことが示唆された。しかし、国民生活の安全を守り、未知の毒性に対応するためには網羅的なゲノミクスデータ添付が必要であって、必然的にデータや解析技術の標準化技術の導入が審査側で必要となることについて大筋で理解が得られることが判明した。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
24件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
16件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計5件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-