肝炎ウイルス検診の現状把握と評価及び今後のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200606021A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス検診の現状把握と評価及び今後のあり方に関する研究
課題番号
H18-特別-指定-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
吉澤 浩司(広島大学大学院 医歯薬学ソウゴウ研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 阿部 弘一(岩手医科大学 第1内科)
  • 金子 周一(金沢大学大学院 医学系研究科 消化器内科)
  • 日野 啓輔(山口大学大学院 医学系研究科 医学基礎検査学)
  • 熊田 博光(虎の門病院 肝臓科)
  • 小山 富子(岩手県予防医学協会 県南センター)
  • 田中 純子(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 疫学・疾病制御学)
  • 中西 敏夫(庄原赤十字病院)
  • 伯野 春彦(広島県福祉保健部 保健対策室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の「肝炎ウイルス検診」の実態を、総合的に評価し、次年度以降の肝炎・肝がん対策のあり方についての提言を行なう。
研究方法
臨床医学、社会医学の専門家の参加を得て、関連するデータの収集、及び調査・研究を単年で行なう
結果と考察
関連するデータの収集、調査・研究を行った結果、下記の諸事項が明らかとなった。
1)HCVキャリアは1935年以前に出生した高年齢層に、HBVキャリアは1945-55年に出生した年齢集団(いわゆる団塊の世代)に偏在していること。
2)HCV、HBVの新規感染発生率は10万人年あたりそれぞれ1.6人、2.5人と、極めて低率に止まっていること。
3)「肝炎ウイルス検診」の受診率(対 節目検診対象集団)はHCV、HBV共に27%に止まっていたこと(全国調査の結果)。
4)40歳-54歳の男性では受診率が低く、かつ、検査の機会を職域検診又は1日人間ドックに依存している率が高いこと(モデル地区での調査結果)。
5)HCVキャリアへの抗ウイルス療法施行率は依然として不十分であること。
6)肝発がんリスク集団としての慢性肝疾患者集団の「囲い込み」と、合理的なフォローアップシステムの導入は、肝がんの早期発見率と生存率を向上させること。
結論
1)職域における働き盛りの集団に重点を置いた肝炎ウイルス検査受診促進のための機構整備と普及啓発が今後、特に重要となる。
2)保健所がそれぞれの地域の医療機関に肝炎ウイルス検査を依託して「個別検診」を推進するなど、今後は特に、行政と医療機関、医師会との協力関係を推進することによって受診機会の拡大を図る必要がある。なお、このことは、次年度以降の東京都の「戦略」の中に既に盛り込まれている。
3)IFN治療施行率向上のためには、最新の治療法に通暁した専門医による治療指針の設定と、患者への十分な説明が重要であることが改めて明らかとなった。
4)それぞれの地域の中核病院を中心とするリスク集団の囲い込みと、組織的なフォローアップ体制の構築が急務である。
5)自治体(都道府県)ごとに、肝炎、肝がん対策を統轄するために行政、医師会、専門家等から成る「協議会」設置が急務である。

公開日・更新日

公開日
2016-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200606021C