自然災害発生後の2次的健康被害発生防止及び有事における健康危機管理の保健所等行政機関の役割に関する研究

文献情報

文献番号
200501233A
報告書区分
総括
研究課題名
自然災害発生後の2次的健康被害発生防止及び有事における健康危機管理の保健所等行政機関の役割に関する研究
課題番号
H17-健康-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大井田 隆(日本大学医学部公衆衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎恵美子(仙台検疫所)
  • 宮崎美砂子(千葉大学看護学部)
  • 武村真治(国立保健医療科学院)
  • 須藤紀子(国立保健医療科学院)
  • 尾崎米厚(鳥取大学医学部)
  • 櫻井裕(防衛医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、これまでに発生した自然災害等への対応に関する事例分析を行い、その問題点を抽出し、自然災害及び大量殺傷型テロ事件による健康被害への具体的な対応のガイドライン(自然災害及び事件の種類別の対応マニュアル、個別の健康問題への対応マニュアル、組織間の連携システムなど)を作成することを目的とする。

研究方法
調査対象とした自然災害は、平成16年度に発生した以下の7つの自然災害・テロで、災害の対象とした自治体は、最も被害が大きく、かつ災害後に報告書が作成された県とした。
・新潟・福島豪雨
・福井豪雨
・平成16年台風21号と秋雨前線に伴う大雨(三重県)
・平成16年台風23号(兵庫県)
・平成16年新潟県中越地震
・米国カトリーナ
・ロンドン連続爆破事故

2.調査方法と調査項目
調査方法として、被害報告書、総務省消防庁ウェブサイトの災害情報、県庁ウェブサイトの被害状況報告、関係機関のウェブサイトの情報を収集・整理を行い、不足する部分については既存の調査や新聞記事等によって補足した。さらに不確定な情報に関して、保健所などの県職員を対象に聞き取り調査を実施した。
結果と考察
平成16年度に発生した自然災害における保健所等行政機関の活動の実態を把握し、自然災害への対応の課題や問題点を抽出した結果、①保健所の医師や保健師等が現場に直接赴き、発生している健康課題の把握と発生しうる健康被害の予測をする必要があること、②災害経験は職員の危機管理能力の向上に結びつくことから、災害経験のある自治体の支援の受け入れと他地域における災害への職員の派遣を積極的に行う必要があること、③災害時の保健活動では、書式の標準化、留意すべき事項の明文化、情報の共有・引継ぎのための工夫が必要であること、④災害時に活用できる様々な資料を集約したサイトをインターネット上で公開し、災害時にもアクセスできるようにする必要があること、などが明らかとなった。
都道府県、指定都市、中核市、政令市、特別区(計127)を対象に、防災計画、備蓄、体制づくりなどの現状を把握することを目的に、質問紙調査を実施し、健康危機管理における管理栄養士等の機能を明確にし、防災計画のなかの栄養の位置づけを見直す必要がある。
結論
厚生労働省の「地域健康危機管理ガイドライン」は平成16年に発生した自然災害への対応は必ずしも十分ではなかった。この原因として、これまでの健康危機管理が感染症、化学物質、原子力に焦点が当てられていたため、自然災害による健康被害への対応マニュアルが十分に整備されてこなかったことが挙げられる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-