健康危機発生時の地方衛生研究所における調査及び検査体制の現状把握と検査等の精度管理の体制に関する調査研究

文献情報

文献番号
200501232A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生時の地方衛生研究所における調査及び検査体制の現状把握と検査等の精度管理の体制に関する調査研究
課題番号
H17-健康-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
今井 俊介(奈良県保健環境研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 吉村 健清(福岡県保健環境研究所)
  • 小倉 肇(岡山健環境保健センター)
  • 伊藤 正寛(神戸市環境保健研究所)
  • 土井 幹雄(茨城県衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
緊急時において、原因となる化学物質・微生物等を迅速且つ正確に同定しうる検査結果の精度管理制度及び積極的疫学調査等を検討し、地方衛生研究所(以下、地研)全体として検査技術力の精度向上に関する具体的方策、提言を行う。
研究方法
1)内部精度評価として協力地研の連携により、農薬等のGC/MSによる多検体一斉迅速検査を行った。
2)外部精度評価として模擬症例(タリウム中毒例)及び模擬検体(タリウム含有人工尿)を協力地研に提示、送付して健康危機シミュレーションを実施した。
3)協力地研でノロウイルスVLPの電子顕微鏡を利用した形態学的診断の精度管理を行った。
4)インターネットや研究協力者の情報により、欧米の健康危機管理対応を担う中心的研究機関を調査した。
5)全地研での食中毒の情報様式等に関するアンケート調査を行った。
結果と考察
1)46種類の農薬の内、6種類を除いてその分析精度の指標は良好で、厚生労働省のA判定であった。良好でない6種類についても、物質特性等によることが原因で、地研の精度管理は十分機能していることが示唆された。
2)机上参加及び実施地研とも殆どタリウムを原因物質として同定した。その過程で、原因物質特定の文献検索データーベースが不十分であるが、地研の危機管理事例集は極めて有効であった。しかし、参加地研が22%と低率であった点は検討を要する。
3)参加地研でのウイルスの生標本の正解率は100%で、固定標本では70%と差が見られた点は問題であった。感染の危険度が高い未知のウイルスの場合、まず検体の固定が必要になるためである。しかし、固定操作上での原因が明確になったので、次回の精度向上が期待出来得る。
4)米国のGNYA,CDCや英国のHPAやカナダ等の健康危機管理対応の研究機関の状況等が明確になった。
5)検体に関する提出情報や発生事例の関連情報で決まった様式は半数以上の地研で整っていない。
結論
研究結果についてはほぼ満足出来る内容であった。しかし、実際には地研において人、機器整備等においてかなりの幅がある点や、健康危機管理における原因物質同定の検査技術力を担う精度管理を含む地研のあり方や地研間での連携等の取組は始まったばかりで、欧米諸国での研究機関の精度管理情報等の導入も含めた更なる検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
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