化学物質による子どもへの健康影響に関する研究

文献情報

文献番号
200501156A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質による子どもへの健康影響に関する研究
課題番号
H17-化学-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 恒久(東海大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中澤 裕之(星薬科大学薬品分析化学)
  • 和泉 俊一郎(東海大学医学部専門診療学系産婦人科)
  • 近藤 文雄(愛知県衛生研究所衛生化学)
  • 堀江 正一(埼玉県衛生研究所食品衛生化学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
35,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
環境中の化学物質による胎児期を含む子供への影響を検討し、多面的アプローチを行うため、代謝を含むヒト生体での動態を検討すると共に、初期発生における影響をエピジェネシスのレベルで検討した。
研究方法
1)ピレスロイド系農薬の主代謝物3-PBAの高感度分析法を構築する。
2)有機フッ素系化合物(PFCs)5物質(PFOS,PFOSA,PFOA,PFNA,PFDA)の高感度分析法を構築、分析法バリデーションも検討する。また、ハウスダストの分析法も構築する。
3)尿中の高感度分析法を構築し、喫煙によるニコチン生体内曝露評価を行う。
4)血清中のフタル酸モノエステル類の高精度分析法を開発する。
5)ハウスダスト中のポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)及び有機塩素化合物の分析法を開発する。
6)フタル酸エステル類、揮発性有機化合物、重金属の暴露量をモニタリングし、同一母体の生体試料を分析、疾患発生への化学物質の関与を検討・評価する。
7)ジメチルスルホキシド(DMSO)の細胞ゲノムへの影響を解析し、エピジェネティック機構の変化を検証する。
結果と考察
1)尿中の3-PBAを測定した結果、グルクロン酸抱合体がごく微量検出された。
2)血液を分析した結果、PFOSとPFOAが検出され有意な相関性が見られた。ハウスダスト検体ではPFOSが全検体から検出され、移行や影響が危惧された。
3)喫煙者は非喫煙者に比べニコチン濃度が有意に増加していた。予備分析の結果、PBDEsやクロルデン類、S-421等がごく微量検出された。
4)分析対象物質のヒト血清の添加・回収率は93.1から103%、定量下限値は0.2から1.0ppbであり、血清中のフタル酸モノエステル類を分析する上で有用であった。
5)ハウスダスト抽出液を精製する事で精度良く定量できた。予備分析の結果、PBDEsやクロルデン類、S-421等がごく微量検出された。
6)尿中のフタル酸モノエステル類、血清及び尿中の重金属類、揮発性有機化合物の分析法を確立し、脂性試料の検討と実測定を数例行った。
7)DMSOによりDnmt3aの発現が促進されメチル化が亢進していたが、逆にメチル化が低下する領域も見出され、領域特異的な変化を引き起こすことがうかがわれた。
結論
本研究によりいくつかの化学物質の分析方法を確立し、生体試料等の分析を行った。また化学物質の分子レベルでの影響の解明を試み、有意な結果を得た。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-