POPsのリスク評価にむけてのヒト曝露長期モニタリングのための試料バンクの創設に関する研究

文献情報

文献番号
200501147A
報告書区分
総括
研究課題名
POPsのリスク評価にむけてのヒト曝露長期モニタリングのための試料バンクの創設に関する研究
課題番号
H15-化学-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小泉 昭夫(国立大学法人京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 佳代子(国立大学法人京都大学大学院医学研究科)
  • 廣澤 巌夫(関西福祉科学大学 健康福祉学部 )
  • 大前 和幸(慶應義塾大学 医学部 衛生公衆衛生学)
  • 日下 幸則(福井大学 医学部 環境保健学講座)
  • 竹下 達也(和歌山県立医科大学 公衆衛生学)
  • 村田 勝敬(秋田大学 医学部社会環境医学講座)
  • 甲田 茂樹(独立行政法人産業医学総合研究所 企画調整部国際研究交流情報センター )
  • 等々力 英美(琉球大学 医学部 地域環境医科学講座)
  • 和田 安彦(兵庫医科大学 環境予防医学)
  • 竹中 勝信(高山赤十字病院 脳神経外科)
  • 渡辺 孝男(宮城教育大学 教育学部)
  • 齋藤 憲光(岩手県環境保健研究センター 環境科学部)
  • 蜂谷 紀之(環境省国立水俣病総合研究センター 社会科学研究室)
  • 藤井 滋穂(国立大学法人京都大学大学院工学研究科 環境質制御研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
43,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
POPsのリスク評価は急務である。合理的判断に基づく予見的対策立案が必要であり、施策を要する物質を速やかに選抜するため、ヒト試料を利用したリスク評価の手法として、試料バンクの創設に関する研究を行なった。 [1]ヒト生体試料バンクの創設、[2]倫理的課題の整備、[3]ヒト曝露の評価と動向予測(有用性の検証)を目的とした。
研究方法
京都大学医の倫理委員会の承認を得た。バンクにコ-ド化して整理保存した試料のデータベースを構築した。新たな血液、母乳、食事試料を分担研究者が全国で収集し、連結不可能匿名化しヒト生体試料バンクに保存した。新たに建設された京都大学内のサンプルルームに試料を一括保存した。試料バンクの有用性の実証において、PBDEsの血清中と母乳中の異性体の検討、メチル水銀のリスクコミュニケーション、PFOS、PFOAの大気中レベル測定と毒性メカニズムの検討を行なった。
結果と考察
全血7,099検体、血清22,535検体、母乳2,704検体、食事3,380検体を保存した。試料保存、運用のためのデータベースを委託開発した。試料に付随する数々のデータを一括管理できるリレーショナルデータベースとした。試料バンクの有用性の実証において、PBDEsの現在の日本の授乳年齢にある女性がアメリカ、カナダには及ばないが、ヨーロッパ諸国並みの曝露を受けていることが判明した。特にdecaBDEに曝露されていること、および母乳中と血清中では異性体の種類が違うことを明らかにした。メチル水銀濃度が高い地域で、住民とリスクコミュニケーションを行ない、食事摂取の介入で逓減できることを実証した。PFOAについては、河川、大気ともに近畿地方で高レベルの汚染が生じていること、また、PFOS/PFOAの血清中濃度も近畿地方在住者で高いことが判明した。毒性メカニズムとしてラット小脳プルキンエ細胞を用いてPFOSが神経細胞に及ぼす影響をパッチクランプ法にて検討し、イオンチャネルに影響をもたらす可能性を見出した。また、PFOS/PFOAがParamecium caudatumの後退泳動持続時間を延長した。マウス投与により摂食障害をもたらすことを見出した。
結論
ヒト生体試料バンクが確立した。バンクの試料を用いた経年動向調査において数々の有用な知見を得た。

公開日・更新日

公開日
2006-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200501147B
報告書区分
総合
研究課題名
POPsのリスク評価にむけてのヒト曝露長期モニタリングのための試料バンクの創設に関する研究
課題番号
H15-化学-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小泉 昭夫(国立大学法人京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大前 和幸(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学)
  • 日下 幸則(福井大学 医学部 環境保健学)
  • 甲田 茂樹(独立行政法人産業医学総合研究所 企画調整部国際研究交流情報センター)
  • 齋藤 憲光(岩手県環境保健研究センター 環境科学部)
  • 竹下 達也(和歌山県立医科大学  公衆衛生学)
  • 竹中 勝信(高山赤十字病院 脳神経外科)
  • 等々力 英美(琉球大学 医学部 地域環境医科学)
  • 蜂谷 紀之(環境省国立水俣病総合研究センター 社会科学研究室 )
  • 藤井 滋穂(国立大学法人京都大学大学院工学研究科附属 流域圏総合環境質研究センター)
  • 村田 勝敬(秋田大学 医学部 社会環境医学講座 )
  • 渡辺 孝男(宮城教育大学 教育学部)
  • 和田 安彦(兵庫医科大学 環境予防医学講)
  • 廣澤 巌夫(関西福祉科学大学 健康福祉学部)
  • 藤峰 慶徳(大塚製薬株式会社 診断事業部 管理部 SI試薬課)
  • 吉永 侃夫(大阪夕陽丘学園短期大学)
  • 井上 佳代子(国立大学法人京都大学大学院医学研究科 )
  • 太田 壮一(摂南大学薬学部 食品衛生学)
  • 佐藤俊哉(国立大学法人京都大学大学院医学研究科)
  • 伊達 ちぐさ(奈良女子大学 生活環境学部)
  • 中塚 晴夫(宮城大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
POPsのリスク評価は急務である。合理的判断に基づく予見的対策立案が必要であり、施策を要する物質を速やかに選抜するため、ヒト試料を利用したリスク評価の手法として、試料バンクの創設に関する研究を行なった。 [1]ヒト生体試料バンクの創設、[2]倫理的課題の整備、[3]ヒト曝露の評価と動向予測(有用性検証)を目的とした。
研究方法
京都大学医の倫理委員会の承認を得た。1970年代から収集された全国規模調査による地域住民の個人別の食事、血液(血清、全血)等の生体試料を収集した。京都大学医学部附属病院に保存されていた連結不可能匿名化の血清試料を収集した。これらを試料バンクにコ-ド化して整理保存した。新たな血液、母乳、食事試料を分担研究者が全国で収集し、連結不可能匿名化しヒト生体試料バンクに保存した。また、これらの試料を収集、運用するための倫理的基盤を整備するために、国内外の情報を収集し、市民参加のワークショップを開いた。試料バンクの有用性の実証において、PCBs、PBDEs、メチル水銀の過去25年間におけるヒト曝露傾向をバンキングされた血清試料と食事試料を用いて明らかにし、PFOS、PFOAにおいても血清試料を用いて明らかにした。PBDEsにおいては、さらに次世代に影響を与える母乳試料を用いて現在の曝露レベルを明らかにした。
結果と考察
全血7,099検体、血清22,535検体、母乳2,704検体、食事3,380検体を保存した。2年間にわたり研究者に提供した。倫理課題を検討し、目的、運用方針を明確にして、賛同した人が預託という形で試料提供し、将来的なことは包括合意をするのが最も良いという意見に一致した。試料バンクの有用性の実証において、PCBsは若年者層の減少に比して、高齢者では濃度上昇が観察された。PBDEsの現在の日本のレベルは、ヨーロッパ諸国並みのレベルであった。授乳年齢にある女性がdecaBDEに曝露されていること、および母乳中と血清中では異性体の種類が違うことを明らかにした。メチル水銀濃度が高い地域で、住民とリスクコミュニケーションを行ない、食事摂取の介入で逓減できることを実証した。PFOAについては、河川、大気ともに近畿地方で高レベルの汚染が生じていること、また、PFOS/PFOAの血清中濃度も近畿地方在住者で高いことが判明した。毒性メカニズムとしてイオンチャネルに影響をもたらす可能性を見出した。
結論
ヒト生体試料バンクが創設され、倫理基盤を確立した。バンクの試料を用いた経年動向調査から、バンクは有用であることが証明された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501147C